第121話 修羅の開祖

 『わたしに羅刹の件任せてくれませんか』


 その言葉は本人が思っている以上に重く、試練となる。



 流派修羅、その源流の歴史は平安時代まで遡ると言われ、当時都で悪行を働いていた『鬼』を倒した名も無い武術家が開祖と言われていた。


 その者はあまりの強さから、誰からか修羅と呼ばれるようになる。


 修羅は、情け深く、とても、優しい男であった、各地で『鬼』と呼ばれる者を自分対応するのに限界を感じ各地で力のある者や、若者達へ、自分の持つべき技術や技を全て教え込み、その者達を鍛える事とした。


 結果、その技を習った者や、開祖修羅の活躍にり鬼と呼ばれる者はいなくなり、平和か訪れたかに見えた。


 しかし、手にした武器を正しいことに使うものが全てとは限らない。


 修羅の技を用いて人々を脅かし、富を得えたり、増えることになる。


 その蛮族を民衆は羅刹と呼んだ。


 修羅の技を持って人を苦しめることに、当時の開祖修羅は罪深さを感じ、自らの技を教えることをやめる。


 そして、今度は羅刹を打倒し、結果、技を伝承するものは減り、残っていたが正しい心を持つ者たちはそれを自分の代で終わらせたり、新たな研鑽をし、別の流派として受け継がれる。


 そして、修羅の技は当主の家族、身内のみに技を教える事となる。


 しかし、当主になれなかった者や、開祖の手を逃れた者は羅刹となり、修羅を狙う存在となってしまった。


 歴代最強の前先代で殆ど壊滅したかに思えた羅刹の残党はまだ残っている。



 先代の当主ですら、打ち洩らした羅刹の相手をしようというのだ、それは、生半可の事ではない。



 阿修羅の実力をかっている父天外であっても、簡単に首を縦に振れる事ではなかった。


 

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