第119話 修羅志天

 選考試合から、3ヶ月季節は、夏から秋へと変わり始めていた。


 あれから、何か変わったかというと阿修羅本人は、何も変わらなかった。

 一週間くらいは、話題の的であっあが、日がたつにつれてその熱も冷めていった。


 日曜の午後、阿修羅は、居間でくつろいでいた父親に話かける。


 「お父様、そういえば、あのトーナメントってどうなりました」


 阿修羅は、ふと思い出したように訊ねる、選考試合が終わって暫くし、テレビでも第一報が報じられたが、それからは特に続報もなかったので、参加予定だと思う父に聞いてみた次第であった。



 「結構、調整が難航してるみたいだな、高額の賞金に目が眩む者もいるだろうし、表にでない強者もいる、史上最強を決める名目だ、時間はかかるだろうさ」


 天外は、そう言うと立ち上がり空を見上げる、戦う準備は出来ている。

 そう思っていると、玄関の呼び鈴がなり響く。


 来客の予定はない。


 少し警戒すると、来訪者は中庭に入ってきた。


 意外な来訪社長は、学園長の天上院とその秘書麗奈であった。

 2人は高そうなスーツをきており、天上院は珍しい黒い帽子を被っていた。


 「すまんな、天外邪魔させてもらうぞ」


 天上院は、生徒の阿修羅ではなく、天外に用があり訪ねてきた様子だった。


 「どうした、我狼、お前が訪ねてくるとは珍しいじゃないか」


 天外は客間へと案内し、天外は阿修羅と共に、天上院我狼は麗奈と、お互いに向かい合い座り、話しをきいた。


 「天外、急にすまん、話しずらい話ではあるんだがな」

 

 そう言って、天上院は、阿修羅に目配せをする。


 「構わん、阿修羅も同席させたい」


 そう言う事なら、そう言って、天上院は話しを始める。


 「天外、お前の末弟、修羅志天の事だ」


 天外は、眉間にシワを寄せた、その名は10年以上聞いた事なかった。


 修羅志天(してん)、修羅家の3男として生を受けたが、天外、空は修羅の技を受け継ぎ日々研鑽を重ねていたが、志天は戦いの道を退き、行方をくらましていた。


 その後、空も阿修羅が産まれた後にどこぞかへと消えた。


 志天とは縁が完全に途絶えていた。


 というより、戦いの道を捨てた志天を巻き込みたくなかった。


 天外は、その志天の名を天上院から聞くとは思わなかった。

 

 「その、俺の弟が志天がどうした」


 天上院は、言い出しずらそうに言葉を繋いだ。


 「お前の末弟、志天は死んだぞ」

 

 

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