第22話 阿修羅ちゃん、とクラスメート
入学式で、天上院学長から、長い話を聞かされ少しは疲労感を感じながら阿修羅は、自分の教室へと案内された。
教室内では、先生を待ちながら、阿修羅は、回りからの視線を感じていた。
女子生徒からは、世界で活躍するトップモデル優美の娘、男子生徒からは、噂の修羅の跡取りとして、注目を浴びていた。
その中から一人が女子生徒が阿修羅に話しかけてきた。
「モデルの娘にしては貧相なスタイルね。」
デコを出した金髪のロングヘアーのお嬢様と言った感じの女子、世界テニスプレーヤー伊達久美子の娘、伊達京子であった。
自身も、テニスプレーヤーでモデルということもあり、注目が自分にいかないので、嫉妬しての発言であった。
「お父様似ってよくいわれるよ。」
阿修羅は無邪気に返す。
京子は、修羅の事などは、まったく知らないのか、言い返さない阿修羅に少しマウントを取って満足して踵を返しながら付け加えた。
「楽しく過ごしたいなら、あまり調子に乗らないでね。お嬢ちゃん。」
何がしたかったのか、よくわからない阿修羅は、そのまま京子を見送る。
そのタイミングで担任の先生が入ってくる。
「皆さん、こんにちは、担任を受け待つ、金田理沙です。
一年間よろしくね。」
若い女性の先生は、簡単な自己紹介を済ませ、クラスを見渡す。
一年間無事に過ごせればという願いと共に、クラスメートに自己紹介を促す。
皆しっかりした受け答えの中、どうしても阿修羅は幼い、落ち着かない印象で浮いてしまっていた。
ただ、皆特に男子生徒は、修羅の娘だというだけで、少し恐れている様子であった。
ただ、一人を覗いては、
阿修羅を睨み付ける男子の自己紹介の番になり、立ち上がり自己紹介をする。
「東郷です。柔道で15歳以下で全国大会で一位になりました。」
それは、全体というよりは、阿修羅に向けての発言のように思える言い回しであった。
「多分、このクラスで強いのは俺じゃないかなと思ってますが、みんなはどう思いますかね。」
不敵に笑みを浮かべる坊主頭の彼は、今自分の強さを証明したいという様子であった。
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