第11話 阿修羅ちゃん、試合。
都心の中にあるビルの一室に設けられたジムの中で、10名程に取り囲まれている親子の姿があった。
父親は、修羅天外、娘の名は阿修羅、因縁をつけてきた男を天外が倒した事が発端で、事態は混乱に包まれていた。
天外は、その緊張感に全く動揺なく、全体に話しかける。
「遊びに来ただけだ、まさか争うつもりはない。
ただ、手に持っているそれ」
天外は、指で凶器になりうる鉄アレイを指さす。
「そういうのを持っているなら、覚悟はしておけ、遊びじゃすまない。
目に指を入れられても、玉潰されても、文句は言うんじゃないぞ。」
鉄アレイを持っている男は、慌てて鉄アレイを起き手を前に構えの体勢をとった。
(その程度の覚悟か)
天外は、見下しそのまま、この有象無象を倒しても意味はないと、この物事の決着を考えていた。
そこに、1人の男が割ってはいてきた。
ドレッドヘアの肌は黒く、長身の外国人。
男の名前、ボブ、一目でほかの者とのオーラが違う事を天外は感じた。
ボブは、先のトーナメントの参加者で、負けはしたものの、格闘技界隈では評価を上げた一人であった。
「ミスターフジヤは、いまテレビの仕事だ、ジムにはいない。」
その男の登場に、男達は構えをといた、場を任せたのだろう。
天外としても、無益な暴力は好まない、本人がいないなら出直すまで、そう思い、踵を帰すがそれを、許さないのか、ボブは流暢な日本語で言葉を続ける。
「勝手にきて好き勝手にやる、まったく無礼な人達だ、謝罪の1つもないのか」
背中越しに言葉を聞いた阿修羅は、怒りで足の血が頭に上がっていくのを感じた。
勢いよく振り返る。
「テレビの前で、父様の事、私たちの家のことをバカにしたのは、ぶれいじゃないの」
ボブ本人がバカにした訳じゃないが、阿修羅にとっては、テレビの人もこの場にいる人間も同じ感覚なのだろう。
参ったな。そんな感じでボブは、腕を組む。
「しかし、そのまま、帰すわけにもいかない。」
天外は、睨みつける阿修羅の肩を叩き、少し前に押し出す。
「納得いかないなら、そこの君が内の阿修羅と戦えばいい。」
回りは、呆れたような雰囲気になるが、天外の目は真剣だ。
「お父様、他流試合は」
「試合じゃない、お遊びだ」
そういって、天外は阿修羅を納得させる、その光景にボブは本当にこの娘と戦うというのかと困惑する、しかし、もう1つの思惑が頭に、浮かぶ。
(いくら、戦わずの修羅とはいえ娘をやられたら黙って帰らないだろう、うまくいけば、ミスターフジヤの試合につなげられる)
「ボブだ、名前を聞いていいかお嬢さん」
ボブは、タンクトップを脱ぎ捨てる。
「修羅阿修羅」
そう答え長い髪を後ろで束ねる。
阿修羅VSボブの火蓋が切って落とされる。
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