第9話 阿修羅ちゃん、出かける

 早朝、阿修羅は、身支度を整え、中庭でストレッチをしてからランニングをするのが日課だ。


 いつもは、誰もいない中庭に、ジャージ姿の父親が立っていた。

 「父さま」


 天外は、笑顔で振り向き、阿修羅に話しかける。

 「おそいぞ、阿修羅、今日は少し行くところがあるから、一緒についてこい」


 阿修羅は、二人で出掛けることがあまりないので、嬉そうに答える

 「はい」


 その後、二人は電車とバスを乗り継ぎ、コンビニで軽くご飯を食べてから、昼頃に目的地に到着した。


 もちろん、遊園地などのテーマパークではなく、都心に建てられた立派なビル


 そこの、一角にあるジムが、目的地だ。


 エレベーターに乗ると、エレベーター内には、見知った顔が載ったポスターが貼ってあった。

 先日の記者会見に出ていた藤谷だ。


 阿修羅の顔が少し思いだし、嫌なか気持ちになる。

 (こんなやつより、父さまの方がつよいのに)


 エレベーターが開いた瞬間、色々なトレーニングマシンや、リングが目にはいる。


 天外は、広いフロアに響く大声は叫んだ


「遊びに来た、藤谷とかいう選手はいるか」


 強面、強そうな男達が一斉にこちらをみる、阿修羅は一瞬気後れするが、天外は一切気にしておらず、余裕の笑みさえ浮かべていた。


 阿修羅と父天外は、藤谷のジムに遊びに来たのだ。

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