第6話 阿修羅ちゃん、朝練

 まだ、日の上りきらない、朝早く阿修羅ちゃんは、道場の中で1人座り込み精神を統一させていた。


 春も近いが朝はまだ寒いが、阿修羅ちゃんの周りは熱気が帯びていた。


 ゆっくりと立ち上がり、両の手を前に並べて出し構えをとる、拳は握っていない。

 後ろに下げていた右足をゆっくり地面から離し、床から完全に離しきった、瞬間、空気の弾ける音が響く。

 鞭のような上段前蹴り、足が地面についた瞬間、今度は左肘を低姿勢で行う。

 技を行った瞬間、目線は上を見て、構えながら後退する。


 まるで、そこに相手がいるかのような動き。


 修羅の次当主になるだろう阿修羅は、女の子だ。


 身長も大きくはない、筋肉もやはり男性に身劣りする部分もあるだろう、しかし、言い訳はできない。


 阿修羅は、常に自分より大きなイメージし、力のある相手を倒す術を考える。

 それは、向かい会う前から、相手のリーチや、重心、性格を考えているのだ。


 勉強に当てる時間は、修行に当てている、父の技を伝承し、戦う事のみを考える生活。


 辛いと思う事はなかった。

 産まれた時に、『最強』を目指す事が宿命なのだから、4月から新生活が始まる。

  

 それは、彼女に新しい刺激となるのだった。

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