第4話 阿修羅ちゃん、かんがえる

 吉田すぐるは、道場の真ん中で大の字で倒れていた、もし、第三者が見れば、小さな少女がこの大男を倒したなどとは露ほど思わないだろう。


 阿修羅ちゃんは、倒れた吉田を見つめこう考えていた。


 (やっばーー、なにこいつ、ちょーおおきいじゃん、こっわー、でも、おこりっぽくてよかったー、こんなんが、れいせいにたたかわれたらやばかったー

 うまくゆかがぬれてるところで、パンチできたからひっくりかえってころんでくれたよ、よしよし。)


 考え事をしてる間に、陸は、庭から道場に上がってきて、吉田を一瞥した。

 「とりあえず、起きるまでまつか、その後、たたきだそう」


 阿修羅ちゃんは、笑顔で答える。


 「そうだね、父さまかえってくるまでに、おきてくれるといいんだけど」


 阿修羅ちゃんは、不安になる、阿修羅ちゃんの父親が修羅の当主となってからは、他流派や公での戦いは基本的に断っていたのだ。


 当主、天外の意見はこうだ。

「修羅と戦い、箔をつけようという輩しかいない、修羅が認める強い相手なら戦うが、それでなければ戦うことはない」


 阿修羅ちゃんが二歳の頃正式に当主になってからは十年間、メディアでの試合をする事はなかった。


 戦わずの修羅、一昔前は最強の代名詞は、今はそう言われていた。


「父さま、おこるかなー」

 

 陸は、阿修羅ちゃんの父親の弟の息子、従兄弟にあたる彼だが、幼い頃から共に暮らし、阿修羅ちゃんより年が3つ上という事もあり兄という感じで接している。

 そんな彼は、阿修羅ちゃんに優しく励ます。


「大丈夫だよ、ただの修羅ファンがバケツひっくり返して転んで気絶しただけだ、そう説明しよう、その方が彼にもいいと思うし」


 阿修羅ちゃんの目が大きく見開き、陸を尊敬な眼差しで見つめる。


(さすが、りく兄ちゃんあたまいい)


 こうして、阿修羅ちゃんの初めての道場破り対応は幕を下ろした。

 

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