夏休みと先輩後輩 その4

「先輩、今日は何をしましょうか!!」

「テンションたっけぇな」

「そりゃあもう!!」

「当たり前のように俺ん家に居るし」

「あっと…嫌でした……?」

「いや別に」

「ならいいじゃないっスか!!」

「いいんだけど、他に遊ぶ友達おらんのか?」

「先輩じゃないんスから居るに決まってるじゃないッスか」

「首傾げて不思議そうにサラッと失礼なことを言うな…その友達とは遊ばんのか?」

「全キャンセルしたッス!!」

「…ふ〜ん?」

「あれ?思ってた反応と違うッス…もっと「なんでだよ!?」とか「馬鹿じゃねーの!?」とか言われるものかと…」

「いんや、べ〜っつに〜?」

「なんでそんなニヤニヤしてんスか!?」

「HAHAHA!!」

「なんなんスか!?」

「言っていいんか?」

「気になるから言って欲しいッス!!」

「…本当に言っていいんだな?」

「え、なに?怖いんデスけど?」

「おい、口調」

「おっと失礼しましたッス」

「それでいいでござる」

「いや先輩、口調」

「こりゃ失敬」

「…いや誤魔化したッスね?」

「先に振っといてそれ言う?」

「ボクはなーんにもきこえませーんなにもききたくないでーすあわわわわわわ」

「なんで耳押さえないで口をあわわわやってんだ」

「それ日本語あってまス?」

「聞こえてんじゃねーか」

「…あっ」

「アホの子見つけた1等賞」

「言い訳小言でまた明日〜」

「まーたあーしーたーじゃねぇんだよな」

「ボクが最初に質問したのになんでマウントとられてるんスかね?」

「アホの子だから」

「なるほど、なんか気まずくなってボケたから主導権を握られてしまったと…」

「理解度がクルクル赤毛だわこの後輩」

「ぷよ○よッスか。よし、先輩!!暇なんでとりあえず…」

「「ぷ○勝負!!」」

「とはならんだろ」

「ダメッスか〜」

「なんか怒られそうで怖いんだけど」

「怖いッスね、夏だからちょうどいいじゃないッスか?」

「そういう怖さは要らんだろうに…肝試しすっか?」

「絶交」

「絶許超えて縁切られんのかよ、顔がガチすぎる」

「絶叫」

「怖くて絶叫あげるんか、そんなに嫌いか肝試し」

「絶評」

「怖いのになんに対しての評価なんだよそれは」

「絶望」

「怖すぎて絶望ってか。涙目じゃねぇか」

「切望」

「わかったからハラ○チっぽくすんのやめろ?」

「先輩が肝試しなんて言うからじゃないッスか〜」

「関係性が一つもねぇだろうがい」

「細かい男はモテないッスよぉ〜?」

「この顔でモテたことなんてないが?」

「…すんません」

「別にいいさ」

「え、なんで頭に手伸ばして…あ、撫でてくれるんスか?もうしょうがないだだだだだだっ!?」

「許すとは言ってない」

「頭が割れる凹む取れるぅ……!!」


「はぁ……はぁ……先輩……激し……」

「思いっきり顔握り潰すのに激しいも何も無いだろ」

「あぁ〜…これ頭凹んでないッスか?」

「こんなんで凹むわけ…あっ」

「なんスか今の『あっ』って!?えっ、凹んでるんスか!?」

「いや頭絞めすぎて馬鹿になってないかと」

「ボクの事なんだと思ってんスか!?」

「世話のかかるが良い後輩」

「先輩……!!」

「馬鹿だけど」

「なんで付け足したんスかぁ!?」

「で、なんだっけ?」

「はぁ…?なにがッスか?」

「何の話してたっけ?」

「…なんでスっけ?」

「まぁいいか〜」

「思い出せないってことはどうでもいいってk」

「思い出した」

「タイミング考えて欲しいッス」

「後輩が友人との約束をブッチしてる事についてだ」

「いや人聞き悪い言い方しないで欲しいッス、全キャンセルッスよ」

「あんま変わらんしょ?」

「いや大きく変わるッスよ!?」

「結果的にはどっちも来ないじゃんね」

「いや事前に来れないって連絡来るのといきなりブッチされるのだったら前者はそんなに気にならないッスよね?」

「んー…」

「嘘でしょこの先輩…」

「や、流石に冗談だわ」

「良かった、先輩が『連絡しても聞いてないって一点張りで無駄に怒る居て欲しくないランキング上位の上司』みたいな人じゃなくって」

「すっごい解像度の高い嫌な上司の特徴出てきた」

「そういう話も聞けないプライドだけが無駄に高い無能上司って居るだけで害悪ッスよねぇ…」

「めっちゃしみじみ言ってるけど、えっ人生2週目なん?」

「後輩転生物語」

「流行らなさそう」

「タイムリープトゥハイスクール」

「合ってんのかそれ?」

「ブラック企業で上司に追い詰められて過労死したボクが転生して最高の高校生活を送りたいと思います」

「なんでちょっとだけ解像度増してくんだよ、長ぇし」

「いや今のラノベって大体長いじゃないッスか」

「内容いいけどタイトル長すぎだしなんかもう全部内容言っちゃってんな?的なタイトルがいっぱい」

「これ話伸ばしたら色々怖そうなんスけど」

「そういう怖いは求めてないんだよなぁ」

「怖いのは無しで涼しいことしたいッスねぇ」

「エアコンガンガンつけてるから十分涼しいだろ」

「いやそういうことじゃなくてッスね?」

「じゃあきm」

「ぶん殴るぞ」

「こっわ…」

「もう、プールとかもっとあるッスよね!?」

「プールねぇ…他は?」

「プールと…」

「プールと?」

「先輩…涼しいことってなんスか?」

「家でエアコンガンガンつけることだろ」

「風情が…」

「そんなもの快適さの前に意味をなさないだろうに」

「えぇ…」

「涼しい部屋でアイス食いながらゲームするべ」

「アイス!!良いッスねぇ!!ねぇねぇ先輩、ボクチョコチップがいいなぁ〜?」

「俺はクッキークリーム…ってことで、後輩」

「クッキークリームもいい…って、はい?」

「買ってこい」

「パシらせんスか!?」

「もちろん」

「嫌っスよ今何°だと思ってんスか!?」

「34°、よし行ってこい」

「この鬼!!悪魔!!鬼畜!!」

「はいはい、奢るから行ってこい」

「っ、…いや、奢りでもちょっと…」

「ダッツ買っていいぞ」

「是非行かせてください」

「うむ」

「行ってまいります」

「暑さで溶けるとアカンから飲み物もテキトーに買ってきて、あとこれチャリの鍵」

「…飲み物も?」

「奢りに決まってんだろ、行ってこい」

「いってきまーす!!」


「た、ただいまもどりゃッスぅ〜」

「おう、お疲れ。早かったな、大丈夫か?」

「溶かさないように全速力で来ましたぁ〜…」

「いやそれよりお前が大丈夫か…ああいいから俺が持つから涼しい部屋で休んどけ」

「ありゃとーざッスぅ〜…」

「ヘットヘトだなおい…」


「とりあえず麦茶飲んどけ〜」

「先輩が飲ませてくださーい」

「…」

「あ、ッス」

「いやそこでは無いが」

「起きたくないッス〜」

「話も出来ないんか」

「先輩、お茶」

「アイスレンチンしてやろうか」

「さっ、先輩アイス食べるッスよ!!」

「一瞬で姿勢正したな…ほら、麦茶とチョコチップ」

「くるしゅうない!!」

「はいはい、俺はクッキークリーム〜っと」

「…」

「こっち見んな」

「先輩」

「ダメ」

「いやまだ何も」

「ヤダ」

「あの」

「無駄」

「1口でいいんスよ〜…ね?」

「…」

「過去一レベルでヤバい顔してる…」

「……」

「………」

「ったく、しゃーねぇな…」

「凄い苦虫を噛み潰したような顔…」

「はぁ…ほら」

「え?」

「口開けろ」

「えっこれ、その」

「ん?…ああ、はいあーん」

「にやにやしてワザとッスね!?」

「ほら溶けて落ちるぞ〜勿体ないな〜?」

「ぐぬぬ…はむっ!」

「おお…」

「…」

「いや上目で睨んでないで口離せよ」

「…先輩許すまじ」

「はいはい、そろそろ慣れろ〜」

「なんでそんな余裕…はっ!!」

「何だ急にうるさいな」

「はい先輩、あ〜ん」

「お、サンキュ」

「そんなあっさりと!?」

「意識しすぎなんじゃねーのー?」

「それは……だって……」

「…」

「うぅ…」

「…無駄に甘くなった気がするなこのアイス」

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