夏休みと先輩後輩 その1
「お、お邪魔しま〜す…」
「邪魔すんなら帰って〜」
「え、あ、え?」
「いや、緊張し過ぎだろ…」
「だ、だって先輩が…」
「あ?なんかしたっけか…?」
「…」
「めっちゃキョロキョロしてるじゃん、なんか面白いものあったか?」
「いえ、意外と綺麗だなと思って…ッスね」
「そこはまぁ掃除したしな、お前が来るんだから」
「あっ、えーっと、その」
「…」
「え、なんスか?そのデコピンなんスか!?そんなん喰らったら頭飛ぶッスよ!?いいんスか!?」
「よし、いつもの調子が出たな」
「はぇ…?」
「おら、間抜け面してないでさっさと上がれ、まぁ狭いけどそこは勘弁な」
「あ、え、はい…失礼しま〜す…」
「…調子狂うなぁオイ」
「そういえば先輩って一人暮らしッスか?」
「そうだぞ、羨ましいか?」
「いや、大変そうだと思うッス」
「んだよ…まぁ大変だけどなー。なんか飲む?」
「貰うッス。1年の時から一人暮らしなんスか?」
「んー、中3入る前だな」
「えっ、それって色々大丈夫なんスか?」
「色々手続き必要だけどなー、っと麦茶でよかったか?」
「ありがとうございまス!んく…なんか凄いッスねぇ」
「まぁ色々仕方なかったんよな〜、親いないし」
「へぇ、そうなんスね〜…っ!?」
「わおスッゴイ綺麗な2度見」
「えっあっどういう…あ、冗談…マジの顔だぁ〜…」
「脳内ダダ漏れなんだよな」
「だから荒んで目つきが怖いんだぁ〜!!」
「急に失礼だなお前!?」
「こんなこと言ってないと気まずいっスぅ!!」
「大丈夫だから!!全く気にしてないから!!」
「先輩が気にしなくてもボクは気にするし気まずいッスぅ!!」
「テンパってる癖にド正論言いやがってこいつ…」
「クソォ…先輩がマインスイーパーに見えてきたッス…」
「誰が地雷原じゃ」
「その地雷の周りにはどれだけの地雷が…」
「もういいから課題やんない?」
「重い話サラッとしといて急に飽きないで欲しいんスけど!?」
「ちなみに先輩の親代わりというか、保護者みたいな人居るんスか?」
「いるいる、じっちゃとばっちゃがそうやな」
「その謎の関西弁はおじいさんとおばあさんから?」
「いや全然?なんならそもそも関西圏に居ないし」
「なんなんスかマジで?」
「なんで俺は怒られてんの?」
「いや、別にいいんスけどツッコミ入れないといけない使命が…ッスね!!」
「ッスね!!じゃないんだよなぁ…そこの計算式間違ってる」
「え…ホントだ、ありがとうございまス」
「喋るならちゃんとやれよー」
「なんで先輩は喋りながら出来るんスか…」
「マルチタスクが少し出来るってだけだ」
「素直に憧れるッス…」
「割とお前素直じゃねぇか、生意気っぽい癖に」
「一言余計ッス!!」
「さっきから話を逸らされている気がするッス…」
「気の所為だろ、なんなら課題やんのが目的なんだからお前が逸らしてるまであるぞ」
「えー?でも緊張してたんで許して欲しいッス」
「先輩の家に課題しに来るだけで緊張するかぁ〜?」
「いや、仮にもッスよ?ボクは女の子なわけで…」
「仮じゃなくても女の子だな」
「まぁ、そうなわけで…男の先輩の家に、それも2人っきりになるのは緊張してもおかしくないと思うんスよ」
「なるほど、確かに。普通に考えたらそうだな…」
「ッスよね?おかしくないッスよね!?」
「まぁでも大事な後輩から信用されてるようで良かったわ〜」
「え、あ………まぁ?ボクと先輩の仲ッスし?」
「待て、なんだ今の間は?」
「なんでもないッス!!そもそも先輩にそんな度胸なんてないッスし!?」
「ああ、ない!!」
「清々しいッスね!?」
「あったら困るのお前だし、そもそも度胸を犯罪に使うなよ」
「それはそうッスね」
「…よし、俺は一教科終わったけどお前進んでる?」
「え?早くないッスか!?」
「わからんとこは教えてやる為に俺がいるんだから、喋ってないで進めんぞ〜」
「そうッスね…よしっ、集中するッス!!」
「先輩…今何時ッスか…?」
「7時だな…」
「お腹空いたッス〜!!」
「こんな時間までいて大丈夫か?」
「大丈夫ッスよ、距離的にもう少しして帰っても晩御飯に間に合うッス」
「そうか、そん時は送ってくから」
「ありがたいッス、お願いするッス」
「おう。で、どこまで進んだ?」
「数学終わって英語少しッスね」
「俺は国語と社会終わって数学半分ってとこだな」
「早すぎないッスか?」
「貰ってからすぐある程度やってたしな」
「あー…最後まで残すくせに最初だけ進めるやつッスね」
「言い方に棘があるだろそれ」
「先輩だけスタートダッシュしてて狡いなんて思ってないッスよ〜」
「でも俺が早く終わった方が教えやすいだろ?」
「ぐぅ」
「ホントにぐぅって奴いるのか…グミ食う?」
「食べるッス〜!!」
「はいよ」
「ん〜、つぶつぶしたグミ美味しいッスね」
「いっつもすぐ無くなるんだよな」
「一気に食べちゃっていつの間にか無いことあるッスよね〜。んー美味しい」
「あるよなー」
「そういえば先輩、ずーっと気になってたんスけど」
「隣の部屋か?」
「よく分かったっすね?」
「襖ガン見してたらそりゃな」
「そんなに見て…たッスね。なにがあるんスか?」
「ただの寝室だぞ?」
「へぇ〜…見たいッス!!」
「お前夜に男の寝室に入りたいの?」
「へ?いや、そういうことじゃなくてッスね!?」
「何慌ててるのかしら〜やらしい子ね〜」
「なっ、このっ、せんぱ〜い!!」
「くははっ、動揺してらぁ可愛い後輩め」
「殴るッスよ!?」
「ぼーりょくはんた〜い!!ほら帰る時間だぞ〜!!」
「この先輩意地悪すぎるッス…!!」
「今更だろ?ほら準備して行くぞー」
「あ、もう!!待って欲しいッスってか先輩送ってくれるんだから先に行っても意味ないじゃないッスか〜!!」
「自分の家じゃない場所に1人取り残されると何も悪いことしてないのに胃が痛くならない?」
「それを味合わせるためにやってんスか!?」
「面白そうだし」
「この鬼畜外道先輩!!」
「そんな褒めんなよ」
「褒めてないッスぅ!!」
「いいから準備してくれ」
「マイペース過ぎないッスか!?」
「腹減ったからはよ送らせろ」
「何なんスかもう!!」
「なんか最近そればっか言ってない?」
「誰のせいだと思ってんスか、誰の!!」
「準備の遅いお前」
「だからぁ…!!」
「で、準備できた?」
「あ、はい、できたッス」
「いい加減暗くなるからな、行くぞ」
「はいッス!!」
「着いたッス、先輩」
「おう、しっかり休めよ〜」
「先輩こそ、しっかり寝るッスよ〜?」
「それは保証出来ない」
「いやいや…」
「まぁお互い体調崩さないように、お前は緊張で特に疲れてるだろうしな?」
「うぐっ…」
「まぁ、明日もよろしく。同じ時間でいいぞ」
「了解ッス!!それじゃ先輩、また明日!!」
「おう、また明日なー…あ、言い忘れてたことあったわ」
「なんスか?」
「今日の服、可愛いな」
「え?」
「じゃ、またな〜」
「…はぇ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます