噂と先輩後輩
「先輩、聞いたッスよ〜?」
「なんだいきなり…気持ち悪い」
「気持ち悪いってなんスか!?」
「ニヤニヤしながら詰め寄ってくるやつは気持ち悪いだろうが」
「酷すぎないッスか!?じゃなくてッスね」
「おう、なんだ」
「先輩、他校のヤンキー集団ボッコボコにして舎弟にしたって噂流れてるッスよ〜?」
「は?ヤンキー集団?ボコボコ?」
「なんでも、20人くらいに囲まれたけど一瞬で片付けたとか!!」
「お前それ本気で言ってる?」
「ンなわけないじゃないッスか、数は力、ッスよ」
「いや噂の方なんだけど…え?そんな噂流れてんの?」
「そッスよ先輩、これでまた不良街道に華が添えられたッスね!!」
「…5人くらいだったのになぁ」
「…へ?」
「あ、いやなんでもないぞ」
「いや無理ッスよ先輩!?さすがに聞こえてたッス!!っていうか、えっ、人数違うだけでマジの話…なんスか?」
「そんなことないぞ」
「いやいやいや」
「いやいやいやいや」
「え、じゃあ、5人ってなんスか?」
「…聞きたいか?」
「わぁ、聞いたら最後、証拠隠滅のためにお前を消すことになるけどいいのか?って顔してるッス」
「すっごい具体的な感想ありがとう、お礼に身長縮めてあげよう」
「へっ?いや遠慮すいだだだだだだっ」
「けっ」
「…ビ○ケット・オ○バが金剛拳相手にやったことをリアルでやられかけるとは思わなかったッス」
「馬鹿ダゼ」
「いやいいッスから…その、言い方が悪かったのは謝るので、教えて欲しいッス」
「ところでさ、〜したから謝るのでって謝ってないと思わない?」
「本当に申し訳ございません!!ッス!!」
「なぜ分けた…?」
「アイデンティティなんで」
「キリッとされてもな」
「で、ホントのところどうなんスか?」
「どうもこうも、噂になるようなとこで暴力沙汰になってたら普通に警察来るだろ」
「あ、たしかに」
「そういうことだ、じゃあ俺は戻るぞ」
「了解ッス!!また後で!!」
「おーう」
「ん?じゃあ5人ってなんだったんスか…?」
「あ、先輩」
「よっ」
「そっちから来るなんて珍しいッスね?」
「それは1年が怖がるからだ」
「ああ、なるほど…その1年を脅かしてまで来る理由があったってことッスか?」
「脅かし…いや、勝手にそうなってるけどもな。可愛い可愛い後輩にちょっと用があったんだよ」
「かわっ…なんスか、ご機嫌取りッスか?」
「いつも自分で言ってるくせに照れんな」
「うっさいッス!!なんのご用件ッスか!?」
「噂をな、聞いたんだよ」
「噂ッスか?」
「そうそう」
「それはどういう?」
「曰く、1年にいるめっちゃ可愛い女子が怖い先輩に脅されてる」
「え?」
「曰く、実は女子の方もヤンキーだからつるんでる」
「ええ?」
「曰く、実は怖いのは女子の方で怖い先輩は脅されて舎弟にされてる」
「はぁ?」
「どう思う?」
「もしかしてッスけど、これ全部…」
「お前と俺だな」
「はぁ!?どういうことッスか!?」
「噂だから知らん」
「いったいなんでそんな噂が…?」
「なんでだろうな?」
「ボクは後輩ッスよね?先輩の」
「俺は先輩だな。お前の」
「ボク怯えたり挙動不審になったりしてたッスか?」
「いや、むしろ笑顔が多かったと思うけど」
「じゃあなんか素行不良でもしたッスかね」
「お前が?ないない、大体俺と居るだろ。夜遊びに出掛けてるなら知らんけど」
「そんなことする訳ないじゃないッスか」
「十分優等生筆頭だよお前は」
「にへへ…素直に嬉しいッスね!!あ、じゃあ先輩はボクのこと怖がってるッスか…?」
「お前が怖がる分にはわかるが…?」
「先輩優しいのに何を怖がるんスか?」
「…お前のそういうとこよなぁ」
「へ?」
「いや、なんでもない。」
「そッスか?あーなんでこんな変な噂流れてるんスかね?」
「知らん、なんか面白かったから後輩に教えに来ただけだし」
「先輩が聞くぐらいの噂なのにボクに一切まわってこない噂ってなんなんスかね」
「ってことは俺が巻き込まれた…?」
「普通逆ッスよね!?」
「そうだよな」
「…まぁ、先輩だしいいか」
「どういうことだオイ」
「ひぇっこーわーいー☆」
「あっざと!!そういう反応するから噂広がんじゃねぇのか!?」
「先輩の目つきが怖いのが悪いと思うッスよ!!」
「「…」」
「くはっははは」
「にっひひひひ」
「はぁーまぁどうでもいいな」
「そッスね!!」
「じゃあそろそろ戻るわ」
「まだ早くないッスか?」
「馬鹿か、周りみてみろ」
「へ?…ああ!!先輩顔怖いから!!」
「うるせぇうるせぇ、邪魔したな後輩」
「あっ、また放課後に!!」
「あいよ〜」
「…なんかいつもより優しかったな、周りに人居るからッスかね?」
「…先輩」
「…なんだ」
「あの」
「いや、言わなくてもいい。多分だけど、噂の事だろ」
「は、はい…ッス…」
「遅れてやってくるアイデンティティ」
「今はツッコむ気力もないッスよ…」
「はぁー…それでも芸人?」
「芸人じゃないッス!!あ…」
「ツッコミ出来んじゃん、俺とM-1目指そう」
「いきなりなんスか!?」
「俺がツッコミで」
「ボクじゃないんスか!?じゃなくて、先輩もなんかおかしいッスね…」
「まぁ…」
「…」
「…俺たち付き合ってることになってるらしいな」
「なんで口に出しちゃうんスか!?」
「状況を飲み込みたくないからだろ」
「だから吐き出したんスか!?留めておいて欲しかったッス!!」
「いいや限界だ、言うね!!」
「今だッ!じゃないんスよ!!もう言ってんすよ!!」
「そうそう、こういうのでいいんだよ」
「…はぁ、そッスね。ボク達が気まずくなる必要無いッスよね」
「んだんだ」
「何キャラなんスかそれ。そもそも!!こんな顔のこわーい先輩と可愛いボクじゃ釣り合わないですし?」
「そっか…俺は割とお前と話すの楽しかったよ、俺達の関係、もう終わりだな」
「ちょっ、本気にしないで欲しいッスよぉ〜、いつものじゃないッスかぁ〜。ね?先輩?」
「悪かったな今まで…じゃあな」
「先輩と話すのボクも好きッスから!!そんなこと言わないで、ね?先輩ってばぁ!!」
「ならいいか、今後もよろしくな〜」
「あっ騙したッスね!?乙女の純情な感情を弄んだッスね!?」
「三分の一もつた〜わらな〜い」
「ボクの気持ちが空回りしてるみたいな言い方やめて欲しいッス!!」
「よくこれ拾ったな」
「伊達に先輩の相手してないッスから!!」
「へいへい、騙した詫びにコンビニデザート奢っちゃる」
「言ったッスね先輩!?じゃあじゃあ、シュークリームと大福とバターサンドとー」
「地球に与える圧力が増えるぞ」
「遠回しに太るって言ってるッスね!?5個以上買って貰うッスからね!!」
「やめろ、財布が痩せるだろ!?」
「先輩が悪いんスからね!!ほら、さっさと行くッスよ!!」
「あーもうわかったわかったから!!」
「ところでなんで交際云々の噂流れたんスかね」
「わっかんね、みんな早く飽きるといいな」
「…ボクは別に」
「なんでやねん」
「独り言聞かないで欲しいッス、変態」
「先輩のイントネーションで変態言うのやめなぁ〜?」
「変態、ド変態、der変態」
「それ以上はいけない、大人の力で消される」
「ネタたくさん振ってきた変態が悪いッス」
「ナチュラルに先輩を変態にするな!!」
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