昼休みの先輩後輩 その2
「ねぇ先輩」
「なんじゃい」
「何キャラなんスか…いや、昼休みの暇な時間になにか暇つぶしを提案しようと思ってッスね」
「あー最近は飯食ったら2人してスマホ弄るだけだしな」
「そうッスよ、だから何かしましょう!」
「提案してくれるんじゃないのか」
「暇つぶししたいっていう提案ッス」
「あっそう…そもそもなんもないから暇なんじゃないのか」
「そんな正論いらないッス、可愛い後輩が先輩の為にお昼誘ってんですから案くらい出して欲しいッス」
「ダチと食うの蹴ってまで付き合ってやってる先輩の為にもっと尽くしてくれ」
「え〜?別に断ってくれてもいいんスよ〜?そんなにボクと一緒に食べたいんスか、先輩?」
「それは俺のセリフだけど。友達いないの?」
「はぁ!?ボク人気者なんスけど!?」
「…お前がぁ?」
「なんスか!!喧嘩売ってるんスね!?いいでしょう受けて立つッスよ、この顔面ヤクザ!!」
「んだとチビゴラァ!!」
「うわぁ言動もヤクザじゃないッスか、先輩の周りに居るのも友達じゃなくて舎弟なんじゃないっスかぁ!?」
「ハッ!!何を言うかと思えば、お前みたいな可愛いだけが取り柄なチビザルが、ただマスコット扱いされてるだけで自称お友達しかいねぇんじゃねぇのか?」
「いくら先輩でも言っていいことと悪いことがあるッスよ!!」
「いつも顔いじってくる奴が言うことじゃねぇな!!」
「なんスか!!」
「なんだよ!!」
「「………」」
「なんか、虚しいッスね…」
「お互い分かりきったコンプレックスしか悪口出ないから不毛すぎる」
「まぁ多少時間は使えたッス」
「だとしても疲れる、精神的に」
「そんなに顔いじられるの嫌ッスか」
「いや、そうじゃなくてな」
「違うんスか?」
「俺の事を慕ってくれる唯一の後輩だからな、あんまり悪く思ってないし大切にしたいんだよ」
「…へ、へぇ、そうなん、スねぇ〜…そう思ってたんスかぁ〜…」
「まぁ、慕ってくれてるってのは俺だけがそう思ってるだけかもわからんけどな?」
「や、やだなぁもう〜!!もちろん先輩のこと尊敬してるッスよぉ!!」
「はいはい、ありがとさん」
「その反応、信じてないッスね?」
「いや、慕ってくれてるって思ってる言うたやないか」
「その時々出る似非関西弁ホントなんなんスか?」
「気にすんな」
「なんなんスか…ん?誤魔化されてる?」
「何の話してたんでスっけ」
「なんだっけか…あれだ、暇つぶし」
「そうでした!!まぁ結局時間は潰せましたし、今日のとこはいいんじゃないッスか?」
「それで明日からまた暇つぶしだ〜ってやんのか?なんか無いんか後輩」
「トランプとか」
「ここ屋上だぞ、飛ぶわ」
「気分が?」
「やってみな、飛ぶぞ。じゃないんだわ」
「えぇ〜、じゃあ将棋とか」
「したいのか?」
「全然ッスね」
「なら却下だろ」
「…ちょっと待ってください、今ボケ考えてるんで」
「お前は芸人か何かなんか?」
「いやほんと、面白いこと言えそうなんス」
「いいから、次」
「少しは付き合って欲しいッス…え〜、じゃあチェス」
「ルール知らんからボケも聞かん、次」
「酷いッス…じゃあオセロとかどうッスか?」
「あー、オセロならまぁ、いいけど」
「どっちが上か白黒ハッキリさせるッスよ!!」
「オセロだけに、ってやかましいわ」
「まぁボクが上ッスけど!!」
「冗談は身長だけにしてくれ」
「その余裕、ひっくり返してやるッスよ!!」
「もう言いたいだけじゃん、あからさますぎて全く面白くないんだよ」
「えっ、じゃあ面黒いんスか?」
「なんだよ面黒いって」
「顔が黒い」
「まんまかい」
「先輩は顔が怖い」
「まだ言うか」
「でも先輩ってホント優しいッスよね」
「な、なんだよいきなり」
「最初はホントただのヤンキーと思ってたッス、でもそんなイメージもひっくり返ったッス」
「あぁ、清廉潔白って言いたいのか」
「ちょっと!!オチ取んないで欲しいッス」
「俺が取ったのは勝ち星」
「ボクは黒星って言いたいんスか!!」
「立場がひっくり返っただろ?」
「…負けました、返せないッス」
「ぐぬぬ…」
「ホントにそう言う奴いるんだ」
「まぁ、今日ところはこれで勘弁してやるッス!!」
「ホントにそう言う奴いるんだ」
「首を洗って待ってな!!ッス!!」
「ホントにそう言う奴いる…前聞いたわそれ」
「チャイム鳴りそうなんでそろそろ戻るッスよ先輩」
「誰のせいだと…」
「あ、そうだ先輩!!話戻すんですけど!!」
「戻らんの?いや、いいけどさ」
「ねぇ先輩、覚えてるッスか?」
「なにが?」
「ボクが本当に先輩を尊敬してるってこと」
「あん?さっき聞いたじゃんそれ」
「じゃあ先輩、これは知ってるッスか?」
「今度はなんだよ」
「ボクが『先輩』って呼ぶの、先輩だけッスよ♪」
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