寄り道する先輩後輩
「せんぱ〜い…お腹すいたッス」
「あー、お前今日体育だっけ?」
「そうッスよ!!しかも午後2時間連続ッスよ!?お腹も空くッスよぉ〜」
「俺も腹減ってきたな…どっか食い行くか」
「マジっすか!?ゴチになります!!」
「奢らねぇからな」
「えぇ〜先輩のケチ!!」
「はいはい自分で払えよ〜」
「鬼!!悪魔!!」
「はいはい」
「顔面が」
「おいコラ待てや」
「きゃー殺人鬼〜!!」
「滅多なこと言うな!!通報されたらどうすんだ!!」
「…私が庇っても間違いなく連れていかれると思うッス」
「わかったかド阿呆」
「ごめんなさい、軽率なことしました!!」
「分かればいいんだよ、分かれば…」
「…」
「…結局俺にダメージが来るじゃん」
「わあぁーホントにすみませんッス!!奢りまスから!!」
「ハッ、後輩に奢られる先輩か…」
「ちょっ、機嫌なおしてくださいよー!!先輩〜!!」
「…ねっ?先輩、甘いもの食べましょ?」
「もういいわ…帰りたい…」
「ほら!!ここの喫茶店モンブランが人気なんでスって!!」
「よし行くか」
「へ?」
「どうした後輩、行くぞ今行くぞほら行くぞ!!」
「さっきまでの落ち込み具合はどこに…」
「いやーここのモンブラン食べたかったんだよ〜!!奢ってくれるらしいし?早く行くぞー!!」
「先輩…謀ったッスね!?」
「な〜んのことかなぁ〜?」
「後輩に奢られる先輩ってどうなんスか!!」
「タダで食うものほど美味いもんはねぇんだよ!!」
「最低だ!!先輩として最低すぎるッス!?」
「傷付いたのはマジだけど」
「あ…はい…ごめんなさい」
「じゃ、よろしく。後輩ちゃん?」
「ぐぬぬ…腑に落ちないッス…というか普通に最低ッス…」
「…先輩?」
「どうした後輩!!」
「わぁ、過去一いい顔…じゃなくて、甘いもの好きなんスね」
「そうだけど?意外か?」
「もう今日はあんまり弄りたくないっすけどさすがに言うッスね。鏡見てから同じセリフ吐いて欲しいッス」
「んだとゴラ」
「鏡見てくださいなんちゃってヤクザ先輩」
「なんか今日当たり強くないか!?」
「可愛い後輩にあんな意地悪する先輩なんてこんな扱いで充分ッスから」
「チビで生意気な後輩がなんか言ってら」
「人のコンプレックス弄るなんて最低ッスよ!!」
「お前が言うな!!」
「「…あ、すいません、静かにします」」
「先輩のせいで怒られたじゃないッスか」
「んな理不尽な、だいたいお前なぁ…」
「あ、ほら来ましたよモンブラン」
「チッ、モンブランに免じて許してやる」
「先輩を抑えるモンブランスゲェ」
「…せんぱ〜い」
「いやぁ、ホント美味ぇな…旬じゃないのにモンブランイチオシなだけあるな…」
「めっちゃニッコニコで幸せそうッス…」
「…おん?食わんのか?」
「いや、食べまスけど…そんなに笑顔な先輩見たことないから珍しくて」
「え、そんな笑ってたか?」
「そりゃもうニッコニコでしたよ。呼んでも聞こえてないくらい夢中でしたし」
「ほーん…まぁ、こんなとこ誰とも来ないしな。」
「友達居ないんスか?」
「普通に居るが?」
「その顔で?」
「今日そのネタ擦りすぎじゃない?」
「いやほんとギャップ凄いッス」
「甘いものなんてだいたいみんな好きだろ」
「そんなニッコニコで食べる男の人そんなに居ないと思うッスけど」
「自分じゃわからんなぁ〜」
「あ、でもホント美味しいッスね…」
「だろぉ〜?当たりの店だな、また来よう」
「お供してもいいッスか?」
「いいぞー、どうせ帰りは一緒だしな」
「へへっ、やったッス!!」
「ん、帰る前にコーヒー飲むわ」
「了解ッス、ボクはちょっとお花摘んで来るッス」
「先輩…優しいッスね」
「おん?」
「結局奢ってくれたじゃないッスか」
「先輩だからな」
「あんだけ奢られようとしたくせに…」
「あんなん、いつものじゃれあいみたいなもんだろうが」
「いやでもマジで凹んでたッスよね」
「マジで凹んだ」
「程々にするッス」
「やめてはくれないのな」
「仕方ないッスね!!」
「まったく…」
「せ〜んぱいっありがとうございまス!!」
「はいはい」
「もう〜!!もっと嬉しがってもいいんスよ〜!!」
「…」
「な、なんスかそんなに見つめて…あ!可愛い可愛いボクに見蕩れてるンスか!?やだなぁもう〜先輩ったらぁ〜!!」
「はぁ…」
「あの、これみよがしに溜息をつかないで欲しいッス…可哀想なものを見る目をしないで欲しいッス!!あれっ、先輩?せんぱ〜い?なんで無視して行くんスか?ねぇ、待って下さいよ先輩!!ねぇってば〜!!」
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