第6話 なんのため
「あの、俺も家に勝手に手紙が来て、いきなり連れてこられて訳が分からないんです……。とりあえず、僕は何からすればいいのですか?」
ただ黙っていても埒が明かない、そう考えて自分にできることを聞いた。
「メアストリ・レイに能力者以外の者が入ること自体初めてだからな……。俺達もよく分からないんだ、すまないな。しかし、本部が手紙を送るほどだ。何かがあるのだろう、ひとまず着いてきてくれないか。」
フォンに連れられ、俺はきっきいたメアストリ・レイのさらに奥深くへと連れていかれた。その奥にはさらに神々しく、まるで奥底の見えない洞窟のようだった。その真ん中には緑色の大きな輝く石が見えた。
「あれが、ザークス教の本尊だ。あの中にはザークス教を立ち上げたザークス・バイユーエンの心臓が入っているとされている。お前も触れてみるとよい。お前自身について教えてくれるだろう。」
俺は、その石に触れてみた。すると
「……え……エマ……エマリエール!あぁ、可愛い私の子……!目を開いたわ!可愛い……」
え?母さん?どうしたの?俺は抱かれている……?そしてその光景はすぐに変わっていき、
「あなた!エマが歩いたわ!ほらおいでエマ!」
今度は俺の歩き始めたころ。
あぁ、そうか。これは、俺の小さなころからの記憶。懐かしいな。
そう思い出に耽っていると、たくさんの俺を呼ぶ声。今の俺には聞きなじみのない声だが、これは、さっき聞いた声。
ここからは未来の記憶……?
「は……?」
ここで、目が覚め、我に戻った感覚。そして、またフォンが近づいてくる気配。
「どうだ、これがザークス本尊の力だ。触れたものの記憶を呼び起こしていく。お前も過去を見ることができただろう。しかし、東洋の言葉で『一寸先は闇』という伝えがあるらしいが、そのとおり、未来は一切見えないらし……」
「み……見えた……」
「は?何言ってるんだ。」
「見えたんだよ!この先が……。俺はここにいなきゃいけないって、この石が叫んでた……」
「お前、まさか……お前の能力って、そんな、だからお前がこのメアストリ・レイに必要だったのか……!」
え……これが俺の特殊能力……?
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