第5話 メアストリ・レイ2
「……なんか用?」
と赤髪の女が不機嫌そうに答えた。
いや……不機嫌になる要素ならこっちの方が多いからな……?(?)
「あの!まず、ここはどこですか、あなた達は誰なんですか……!」
ここは先ず純粋な疑問をぶつけよう。自分がこの空間を把握出来なければ相手に伝えたいことも伝わらない。
すると、大柄の男がいきなり距離を詰めてきた。
「ここはザークス教本部の地下深くだな。そして俺たちはザークス教特殊部隊、『メアストリ・レイ』のメンバーだ」
「その、メアスト……ってなんなんですか」
「メアストリ・レイね!あんたも部隊の一員なんだからしっかり覚えなさいよ!……要は、私たちはカバネラス教の生み出す『メストリーテ』を鎮める為の部隊って感じかしらね!」
赤髪の女がそう答えた。たしかに、このバイユーエンでは俺が生活をし、信仰をしているザークス教とまたもうひとつ、カバネラス教というものがある。ちなみに俺のミドルネームにあるザークスはもちろんザークス教の下に生まれた人間である事の証明である。バイユーエンの都市部ではたまにカバネラス教徒が行う儀式の上で発生してしまう『メストリーテ』と呼ばれる生き霊が悪さをしているという話は聞いたことがある。バイユーエンの言葉で『レイ』は『鎮める』という言葉であるから『メアストリ・レイ』って名前になるのか。理解。
「――その顔は分かったようだな、じゃあこちらの紹介をするとしよう。まず俺がタージ・フォンだ。そして、色々説明してくれたこの女が……」
「アカネ・アイラよ。……まったく、あんたに能力が備わってるなんて思わないけど。ね?お兄ちゃん。」
大柄の男に続いて赤髪の女が喋り出し、そしてその女の目線は背の高い細柄の男に向かった。
「あぁ、そうだね、僕には微塵も感じられないよ。ちなみに僕の名前はシーカー・アイラ、アカネの兄だ。よろしく。」
「まぁ、そう言うなって……ザークス様のお導きなんだからよ。そして、お前を連れてきてくれたこの女の子が、マフィン・デヴィアだ。」
マフィンと呼ばれた小柄な女の子は1度こっちを向いたかと思いきや、また視線を外し下を向き始めた。
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