第39話

家に帰るのは少し怖いと思ったが、だんだん部屋を壊されたことに対する苛立ちと、虚無感でいっぱいになっていたし、なにより音楽を聴きたかったから早く帰って対策をした方がいいと考えた。

家の近くで、祖母の気配も父の気配も感じない。

夜中になっているし、起きている可能性はあまり高くなかった。

部屋に行く前に父に事情を説明しようと事務所になっている部屋に向かった。

「お疲れさま、あのさ、私の部屋のドア壊れちゃったんだよね、」

「はぁ?なんで?」

「祖母が帰ってきたのは知ってる?祖母がね~キレ散らかして部屋のドアつるはしでめっちゃ穴開けられたんだよね~。」

「それは災難だったなぁ!」

(笑い事じゃねえっつうの。)

「もううんざりだよ、とりあえず今日のご飯代請求してもいい?予想外すぎたし、私だってこんなにお金使う予定なかったわけなんだけど、心労だわ~。」

「まぁ、それはいいけど。」

「部屋のドアは虫に刺されるの嫌だから早めに直したいんだよね、虫嫌いだしさ。」

「明日、ホームセンターで直すの買ってくるわ。」

「よろしく~、今日は我慢するから、とりあえずコンビニ行って甘いものでも買ってくる、疲れたし。」

「俺のもよろしく。」

「うぃ。」


次の日にドアを見た父は大笑いしていた、笑い事じゃないと感じた私もしっかりその空気で笑ってしまった。パッチをあててもらい、ドアの問題は解決したが、部屋のドアが壊されたことで、プレハブも安全ではないんだということになった私は、昼間は家に居ないほうがいいなと改めて思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る