12月22日 腹をきめる
曇り。
今日はらしんばんに同人誌等を売りに行った。本当を言うのであれば、手放したくはなかった。同人誌を買うという出会いを安易に手放す行為をしたくはないという信条がある。それは「一期一会」とか「出会えた奇跡」とか表現できるかもしれないが、そんな言葉で表現するにはお粗末すぎるのである。そもそも言葉にすること自体、誤りが起きてしまう最大の原因である。
そもそも同人誌をなぜ売ることになったのは、家の整理整頓による影響である。どんどん中身を出して捨てるように指示を受けていた。同人誌を買ってきたことをバレたら即座に「18禁マンガ」を買ってきたと連呼されるはめになる。そのため、隠しながら同人誌を購入していた。ただ、ここで限界がきてしまっているのでやむなしと言ったところである。
本当に絵師の方や本屋さんには申し訳ないことをしてしまっている。一期一会で丁重にいただいたもの、賜物であるのにも関わらずこうして売ってしまうことに罪悪感を背負わずにはいられなかった。そして、文化財を学ぶものとして、二度と手に入らないものを手放す意味の重さを重々承知しているのに、手放す選択しか選ぶほかない境遇に不甲斐なさを感ぜざるを得なかった。これも巡りあわせなのだろうか。はたまた、何かの罰なのだろうか。真実を見る目を持たぬ身には分からない話である。
それの償いといってもあれだが、それらを売る前に風呂敷に包み入れ、その包みを経本台に載せて読経を行った。阿弥陀仏にこれらを手放すことをご報告し、懺悔の念をお伝えした。
どうか、これらの本が買い取られた先でも大切に扱われますように。そして、この本のかけがえなさを行きわたった先に知っていただいて、守っていただけますように。ただただそれだけ願うばかりであった。こんなとこでお願いしても仕方ない話であったが、そんな気持ちがつい前に出てしまった礼拝時間であった。
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