第13話 破壊者の不満。

クオーが不服だったのはどうしてもレアで育て切りたいカケラがある為に最後の希望を出られないインニョン達の事だったが皆口々に「大体10年かかるのが一気に縮んだんだから問題ないよ」とクオーに感謝を伝えた。

そして申し訳ない事と同時に不服で仕方なかったのはリユーの不始末に関してだった。



「今ひとつ問題に直面している。それはリユー・ジンの後始末だ」


ズエイ・ゲーンの睨みつけるような目を見ながら「リユーは何を?」とクオーが聞き返すと「Aランクを引き当てて育て切る前に死んだこと」とズエイは言った。


「それは迷惑をかけるモノなのですか?」

「ああ…大いにな。引き当てて育て切ればまだ良かったが、死なれると後が厄介だ」


ズエイの説明は簡単だった。

Aランクの所持者が死んでAランクが持ち主不在になった事は最後の希望の皆が知ってしまっていた。

本来なら売る事も可能だがそれをしてはゲーン探索団が舐められる原因にもなるし風神の乱気流は洒落にならない力を秘めて居るので最後の希望のパワーバランスが一気に崩れかねない。

そして持ち主不在で5日もすれば大地に還ってしまうのでその前に何とかする必要があるというモノだった。

この言葉にクオーは躊躇なく「ならば私が魔神の身体と風神の乱気流を持ちましょう」と言う。


呆れ顔のダムレイと嬉しそうなハイクイ。


「やっぱり言ったねダムレイ」

「無茶だ。いくらなんでもAランクの二つ持ちは死ぬ。クオー、お前自分の姿を見てないから言えるんだ。ボラヴェン、見せてやってくれよ」

ダムレイの指示で大鷲の目を使ったボラヴェンの力によってクオーは自分の姿を見ることができた。


「これが…私?」

そこに現れたのは左側の耳から後ろが青色から白髪になっていて左の黒目が赤目になっていたクオーの姿だった。


「82個も異常だがCとBでそれだ。Aランクの二つ持ちなんてやったら死ぬぞ?」

「だがしかし…弟の不始末は兄である私が晴らしてこそ…」


ここでハイクイが「だからさクオー、2人で頑張ろうよ」と持ちかけてきた。

クオーはハイクイを見て「ハイクイ?」と聞き返し、ダムレイは「ハク、辞めとけ」と言う。


ハイクイはダムレイを見て「俺はダムレイが無理するならここは俺だと思う」と言った後で自分の手を見て「きっと俺なら出来る。そんな実感があるんだ」と言った。



状況が読めないクオーが「ハイクイ?」と声を描けるとハイクイは「俺が風神の乱気流を持つからクオーは俺の代わりに大蛇の束縛を持ってよ。クオーなら魔神の身体と二つ持ちやれるよね?」と言う。


「…それをしたらハイクイは…」

「俺はそもそもまだ人になるのに3年くらいあったから、それにクオーのおかげで俺の名はハイクイ・シータになれたからいいんだ。ただ悪いけど大蛇の束縛を育ててよ。クオーなら束縛で身動き取れなくなった敵を殴り殺せるよね?俺は山猿の毛は気に入って居るからそこに風神の乱気流が手に入るならもっと身軽に動けるからうまく行くよ」


イメージは出来たがどうしてもダムレイの心配が気になりダムレイに確認をすると「持ってみなけりゃわからねえけど何かあってからじゃ遅いだろ?」と言うモノで、ハイクイも「だから構わないって、旦那もAランク育てたらボーナス期待していいよね?」と言う。


ズエイは「ああ、お前はもう人間だからな。人間に相応しい給料を払う」と約束をした。


最終的にゲーン探索団は現在育てて居るカケラを育てながらクオーとハイクイのカケラが育つまでは最後の希望で暮らすと言う事になる。


そしてこれから1週間は休息にあてられて翌週から育てる方向の動きになる事が決まる。

まず変わったのがクオーを含めて団員全員の食生活が大きく改善をされた。

それは人になったのだからと明確な違いを持たせる事で周りとの差をハッキリとさせた。


キロギー達は心からクオーに感謝を伝えてクオーは「仲間なのだから当然のことだよ」と言った。

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