神様ー?
メイドホムンクルスを担いで、錬金王国にある教会へとやってきた。
聖水を取得するためだけのこじんまりとした教会で、シエスタも所属していない。そんな小さな礼拝堂だけの教会で、早速神様に御祈りをささげる。
「神様ー? 新しく混沌神を名乗ってた犯人を連れてきましたー」
「お、来ましたか!」
と、早速私たちは神様空間へと招待された。ミーシャは今回連れてこられなかった模様。
そしてメイドホムンクルスとカオルを見て、神様は首を傾げた。
「……ん?」
「あれ、どうかしましたか? あ。こっちのカオルは御輿として担がれてただけなんで、ちょっと情状酌量を願おうかと。……今靴下温めさせてます」
「おお、そうですかそうですか。殊勝な心掛けですね」
うんうん、と頷く神様。これは生き残れるか?
「でも混沌神を名乗ってたんですよね?」
「ひゃいっ!? いえ、自分からは一度も! このメイドに勝手に呼ばれてただけで!」
「……ううーん。この子、なんか良い匂いするからなぁ……許しちゃおうかなぁ」
「あ、あざっす! 俺、生き残った……生き残ったぞー!!」
「良かったなカオル」
「ああ、カリーナのおかげだ! サンキューな!」
喜ぶカオル。やったね、これからは私の仲間として一緒にこの世界を楽しもう。
ところでホムンクルスで美少女作れるんだよね? 楽しみにしてるよ、フフフ。
それにしても、なにやら煮え切らない様子の神様。
「あ。それで、こちらのメイドホムンクルスが犯人で黒幕です。例の自称混沌神に仕えていて、命令されていたとかなんとか? だそうで」
「ん。そうですか」
あれ? と、ここで私はようやく違和感を覚えた。
あれほど怒り心頭だった神様がなんか大人しい。前回の、というか私が最初に対応した
「ちなみにこのホムンクルス、大量の神器を身に着けているみたいなんですけど、ボーナスもらえたりします? 自称ですが108個の神器がどうとか言ってました」
「ん? んんん、いや、こいつは別に何の神器も持っていないようですね」
じーっとメイドホムンクルスを見た神様がそう言うのなら、やっぱり自称だったのだろう。まったく、人騒がせな奴だな……
「んん?」
「どうかしましたかカリーナちゃん? あ、犯人を捕まえたご褒美ですね。1万SPを贈呈です。しばらく豪遊しましょうね?」
「そうですね、1万SPもあったら、50SPとかのスイーツは食べ放題みたいなもんですし」
「あ。そこの子の助命はカリーナちゃんの端数分のSPと引き換えですからね。残り1万SPです」
「神様!? そういう後出しよくないと思うんですよ!!」
「私がルールです」
そうだこういう神様だったわ。はぁー、これは陣営を鞍替えしても仕方ないよね。
……んん? 陣営? と私は首を傾げた。けどすぐに良いコトを思いついて忘れた。
「あの、神様。1万SPは犯人を捕まえた報酬であって、このメイド、正確にはメイドの所有物自体はまだ私に所有権がありますよね?」
「んー? んん。まぁ、そうですね?」
「じゃあ、コイツの履いてる靴下でも改めてSPを貰えますよね!?」
「む。うーん、まぁ、いいでしょう。認めます」
「な、なんだってー、や、やめろー。この靴下は一週間履き潰してて今最高に臭くて恥ずかしいのですよー。このド変態がー」
「ハッ! 良いコトを思いつきました! いっそ神様の手で直接脱がせてはどうでしょうか? なんなら口で、こう、ぐいっと」
「えっ、それって……踊り食いってことですか! わぁ、靴下の踊り食い! なんてとてもすごく素敵に良いアイディアですねカリーナちゃん! 花丸あげちゃいますよ!」
お褒め頂いたぜ、いえーい!
っていうか靴下の踊り食いとか初めて聞いたよ。流石神様、度し難い変態だわ。
「おら、黒幕がよぉ、お前が余計な事するから色々面倒なことになったんだ。謝罪しながら神様に踊り食いされちまいな」
「や、やーめーろー、はーなーせー」
縛られたまま、スカートから足を差し出させて靴を脱がせる。エナメルのパンプスから現れたその靴下は白ソックス。足裏の形が分かるほどに黒く汚れており、一週間履き続けていたというのは嘘ではないと実感させる香りがもわっと広がった。
「おお! これはこの時点ですでに高ポイントが確約されてますよ!」
「おらメイド! 神様がご所望だ、メイドらしく靴下を給仕しろ!」
「くっ、どうぞお召し上がりください」
そう言って顔色を一切変えず
「では、いただきまーす!!」
その臭い靴下のつま先に、神様はとびっきりの笑顔を浮かべながらかぶり付いた。
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(以下お知らせ)
尚、フザケた新作もやってます。
『バニーにあらずんば人にあらず ~バニーガールに支配された世界でニンジン屋を営む~』
https://kakuyomu.jp/works/16818093083361398334
(ここまで読んでいただいてありがとうございます!
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