目が覚めて


 私の目が覚めて視界に入ったのは、保健室とか病院とかにあるような白い天井だった。


「…………言わねぇぞ……!」

「知らない天井だ……」

「おいカオル! 私が言わなかったのに!!」


 声のした方、横に顔を向ければそこにはカオルがベッドに縛り付けられていた。そして私もベッドに縛り付けられていて首から上しか動かせない。

 手首足首に皮ベルトがつけられて大の字に固定されている。空間魔法が使えればこんなのどうってことないんだが……くっ、なぜか使えない!?


「ちょっとまて、なんでカオルが縛りつけられてるんだ? 何があった?」

「すまん、俺も今起きたトコ。ってか多分負けた。なぜか俺もカリーナのすぐ後に動けなくなった……」

「OH……そうか、お前も『神様の作った身体』だったのか」

「あ!? 言われて見りゃそうじゃん!! 俺自身が神器だったんだ!?」


 こ、このポンコツがよぉ!! そして、ゴーレムもカオルの支援がなければただの人形。あっさり負けてしまったのだろう。


「あと一つ謝らせてくれないか」

「あん? なんだよ」

「実は知ってる天井だったわ。ここウチの医務室だわ」

「そうか、このダンジョンお前んちだから知ってる天井だよなぁ」


 なんで知らない天井なんて言ったんだコイツは。きっと言ってみたかっただけとかに違いない。

 あれ、そういやミーシャはどうしたんだろうか。


「あ、おめーら起きたニャ?」

「おはようございます、ご主人様、お客様」


 反対方向を見ると、そちらではミーシャがメイドの淹れた紅茶を飲んでいた。

 角砂糖をポチャポチャ5個くらい入れてずぞぞぞぞっと、優雅からは程遠いティータイムだ。


「……おはよう。おいミーシャ、なんでメイドとお茶してんの? しかも私ら拘束してさ」

「え? 決まってんにゃ。私がカリーナを裏切ったからニャぁあーー!」

「飼い犬に手を噛まれるとはこのことか、チクショウ!!」

「にゃ、そこは飼い猫じゃねーの? まぁいーにゃ。動けねぇカリーナなんざ怖くねーニャ、いつものお礼にイタズラしてやるニャー!!」


 そういってミーシャはぷにょぷにょと動けない私の胸を揉みしだく。ひゃんっ、ちょ、や、あ? 谷間に指ツッコむなぁ……ん? なんか棒を……棒ヤスリ?

 む、おっぱいのこねくり方が文字に……ス、キ、ミ、テ、ツ、カ、エ……『隙見て使え』? み、ミーシャ!? 何か疑ってゴメンよ!?


「ぐ、ぐぬぬっ、情けなくて涙が出てきた……」

「ハッ、これで借りはナシにゃー! 踏み倒し上等ニャー!」


 にゃっはっはっは! と演技とは思えないイヤらしい顔で笑うミーシャ。いや演技、え? 演技、だよね? すまん、まだちょっと疑ってる。

 ……ところで胸元に仕込まれたヤスリなんだけど、両手両足拘束されてて使えないんだが。やっぱミーシャはミーシャだな?


「さーてレナちゃん、こいつら起きたけどこれからどーすんの?」

「さて、拘束してみたのはいいですがどうしましょう。とりあえず身体にどちらが上かを教え込むというのもいいですね」


 え!? エッチなやつ!? エッチなやつならちょっと吝かじゃないよ私!


「ではこちらの神器『洗脳チップ虫』を脳に埋め込むとしましょうか。」

「ちょま!? そいつを止めろミーシャ! それダメなヤツじゃん! ガチのやつじゃん!! そういうの誰も求めてないから! たすけてぇーーー!?」

「おや。捕虜の要望を聞く必要ってありませんよね? あと私に需要があります。洗脳されていいなりになる女の子ってエッチですよねぇ……! さて。耳と鼻、どっちから入れましょう」


 それはそうなんだけどぉ!!

 うわぁあああやめてその小指くらいの白い芋虫近づけないでーー!?




―――――――――――――――――――――

(書籍化作業及びに展開に悩んでて更新がストップしてましたわ……!

 すまんな……!)

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