新生錬金王国
「せんぱーい、ブレイドせんぱーい」
「ん? って、おお、カリーナじゃねーか。久々だな! お前も依頼受けて来たのか?」
依頼。なるほど、そう言うのがあるらしい。早速の情報提供ありがとうございます!
「いや、私はただの通りすがりですね」
「通りすがりって……通りすがる場所じゃねぇだろココ。まぁいいか」
「そんで、先輩は依頼なんすねー」
「おう。『新生錬金王国』からの依頼でな、新王都の復興作業だ!」
聞けば、一人あたり一日に銀貨5枚くれるというかなり気前のいい話――今の私からしたらはした金だが――らしい。
にしても、『新生錬金王国』とは。こりゃ錬金王国の二番手以降が国を復興させようとしているってカンジでいいのかな?
「シルドン先輩やセッコー先輩はどちらに?」
「ああ。シルドンはあっちで瓦礫の撤去、セッコーは伝令で走り回ってるよ。俺はこーして炊き出しの手伝いってワケだ」
言われて見れば、先輩はエプロンを身に着けて包丁を片手に芋を剥いていた。
うーん、なんかしっくりくる。似合ってる。
「木工スキルの活躍時では……?」
「仮設住宅作るときには手伝ったぞ。つか、なんか料理担当は押し付けられてんだよ。みんなやりたくないし、やらせたくないらしい」
なんでも、料理の腕もだが、信用できない奴に飯の準備は任せられないとのこと。
つまりはブレイド先輩の人徳によって飯を任されたというわけだ。流石ぁ。
「にゃーにゃー、カリーナ。コイツあんま強くなさそうだけどホントにカリーナの先輩にゃ?」
「口を慎めよミーシャ。先輩は私に冒険者のイロハを教えてくれた大恩人だぞ」
「みにゃ!? おいテメー、なんでコイツにもっと常識を教えてやらなかったにゃ!?」
「……あー、うん、スマンな? 俺もカリーナにゃ振り回されてたからよ」
「あっ、察したにゃ。こちらこそ無理言ってスマンかったにゃ」
がしっと握手するブレイド先輩とミーシャ。なにその友情。私を中心として繋がる関係?
「あ、ちなみに私はミーシャにゃ! テラリアルビーの烈風と言えば、私の事にゃ!」
「烈風!? あのAランク冒険者の!?」
「え、何。『神を喜ばす尻』の他にそんな二つ名あったの?」
「てめ、それは言うなにゃ!?」
しかもマシロさんと同じAランクだったのか。知らなかったわー。
「……あー、えっと。Cランク冒険者のブレイドだ。よろしく頼むわ」
「えっ、C? 今Cっつった? にゃーんだ、カリーナの先輩とかいうから身構えちまったけど大した事ね――く、は、にゃーな! カリーナにも
よしよし、尻をつねってやったら自分の立場を思い出したようだ。先輩の事悪く言うんじゃねぇぞミーシャ。
「先輩、これはウチのペットなんで、畏まらなくて大丈夫っす! なっミーシャ!」
「はいですにゃ、ペットですにゃー、すんませーん」
「お、おう……おいカリーナ、お前いったい何がどうして烈風を従えてんだよ……」
「まぁまぁ、細かい事はいいじゃないっすか。あ、芋の皮むき手伝いましょうか」
「お、じゃあそっちのカゴの方頼むわ」
空間魔法でホイッ。はい、皮剥けた。
「終わりました。どーぞ。あ、そっちもやっちゃいますねー」
「おう。やっぱ魔法ってすげーなぁ。ほれ、少ないけど駄賃だ、とっとけ」
と、ブレイド先輩は銀貨を一枚ポイっとくれた。わー、芋の皮剥いただけで約一万円。太っ腹ぁ。ブレイド先輩の日給の5分の1だぜ、いいの?
「フツーに剥いてたらそんくらいかかる量だからな、妥当な額だろ」
「じゃあオマケでカットして鍋に入れるとこもやっちゃいます?」
「おいおい、流石にもう駄賃は出さねぇぞ? まぁ出来たらお前も食ってけよな」
こうして私はブレイド先輩の仕事を手伝う。そして、浮いた時間で更に話を聞くことにした。
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