そして、治安はとても良いようだ。


 上空からの映像に、集落が映る。

 村、というよりもなかなか立派な町だった。真っ二つになった外壁が痛々しい。


 元々あったであろう外壁や建物は半分に切り裂かれ、ひっくり返されて倒壊し、道には瓦礫が散乱している。所々草木は焦げて黒く変色しているのは、二次災害で火災でもあったのだろう。しかし、それを片付けようとスコップやのこぎりを手にした人々が働いていた。

 数体、木材や石材を運ぶゴーレムもいた。元々ゴーレムは錬金王国の名産品だ。破壊を免れたか、十分修理できたゴーレムがあったのだろう。重機として活躍中のようだ。


「なんか普通に順調な復興中って感じにゃねぇ」

「つーか、壁がスッパリ一直線に切れてるじゃねぇか。一体何したらこんな綺麗に壊せんだよ……」


 こう、しゅっとやったらスパッてなってたよ。そうだね、空間魔法だね。


「うーん、盗賊いなさそうだにゃぁ?」

「人の表情も明るい。しっかり統率がとれてるっぽいな……」


 そして、治安はとても良いようだ。……荒れてないのかぁ。うーん。

 もっとこう、世紀末ヒャッハーな感じになってると思ったのになぁ。


「あれだ。こりゃきっと強いリーダーが統率してんだな」

「そうだにゃー。強いリーダーさえいたら逆らう奴もいねーし、盗賊も即滅ボコにゃ!」

「ふむ。リーダーかぁ」


 まぁ自称混沌神なジジイ以外は明確に殺したりはしていない。2番手とか3番手とかが残っていたのであれば、統率をとって復興にかかるのも難しくはないだろう。


「……って、あれ? ブレイド先輩?」


 ふいに、復興作業をしている人の中に見知った顔を見つけた。


「ん? どうした。カリーナの知り合いか?」

「うん。あそこで瓦礫運んでる人。ソラシドーレの冒険者だったはずなんだけど、なんでこんなとこに居るんだろ」

「冒険者ならどこにいようが勝手だろ? 資材運搬の護衛依頼とかでも受けたんじゃねーの」


 あり得る。そしてブレイド先輩のことだ、ついでに現地で復興作業の手伝いの依頼とか受けたんだろう。むしろ普通にボランティアしてても何の不思議もない。


「パヴェルカント王国の介入も考えられるな。復興の手伝いで貸しにするのか、それともそのまま切り取りなのかは分かんねぇけど」

「ふむふむ。……折角だしちょっと事情でも聞いてこようかなぁ」

「ん? 今から行くのか?」

「ちょっと離れたところに降りて、偶然を装って再会、そのまま聞いてくる感じで!」

「おっ、そんなら私も行くにゃ!」


 無駄に乗り気だなミーシャ。ボーナスとかは出ないぞ?


「アタシは留守番しとくわ。盗賊狩りになりそうなら呼んでくれ」

「あいよー。んじゃ行ってきます」

「にゃっはー! いってくるにゃー!」


 と、私とミーシャは錬金王国に降り立った。




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