正義ほど気持ちいいもんはねぇもんな!
「カリちゃん! 盗賊を探してるんだって!? お目が高い!」
「盗賊とかサイコーの実験材料だよね! タダでどこまでもやっていいし!」
「ウチの国だともう盗賊居なくなっちゃって」
「狩りつくしちゃったんだよねぇ……てへっ」
「新しく盗賊になろうって奴もいなくて。見つけたら2、3人分けてね」
と、五大老の皆はそうのたまわった。
……やべーなドワーフの国。
盗賊行為=無制限実験体の立候補、とか、そりゃやらんわ盗賊。
食い詰めたとしても、普通に治験で立候補したほうが金も貰えて尊厳も守られるもんな……
街道チェックだけど、ドワーフの国から延びる道だったから盗賊が居なかったのだろう。
「というかなんでみんなにバレてんの? ミーシャ漏らした?」
「ディアちゃんには内緒とは言っといたけど、奥さんには言っとくべき事にゃん?」
「誰にも内緒でコッソリと、とか思ってたんだけども。つーかディア君
「そんならそもそも私に話すんじゃねーにゃ」
悪びれもせずヤレヤレと肩をすくめるミーシャ。
とりあえず尻を2、3発叩いておく。
「……他には言ってないよね?」
「いちち……そりゃモチロン、マシロにも言っといたにゃ!」
「なぜに!?」
「え? 盗賊狩りとかいう楽しいイベント、教えなかったら恨まれるにゃん?」
「そーだぞカリーナ! アタシのこと除け者にして楽しもうったってそうはいかねぇからな!」
と、後ろからがしっとモフッと肩を組まれた。マシロさんだぁ、ふかふか。
洗ってある犬のニオイがするー。
「最近は盗賊になろうって気概のあるヤツもめっきり減っちまってな」
「あ、マシロってばもしかしてそれで国を出たにゃ?」
「おうよ! やっぱ冒険者ってのは盗賊を狩ってナンボだろ? アイツらは金も溜め込んでるしそこそこ強い。遊ぶにはもってこいだったからな!」
なるほど。獣人の国ことテラリアルビーでは血気盛んな冒険者が盗賊を積極的に狩ったりしているらしい。
「つーか、主要街道なんて探しても盗賊は居ねぇぞ。もっと脇道を探せ。ソコソコ稼いでるやつは一発狙いの商人を狙うヤツだ、人通りのほとんどない山道がおススメだぞ」
そう言ってルンルンと上機嫌に私に指示するマシロさん。
主要街道は騎士団が巡回することも多く、盗賊はそれを避けるそうだ。
「お、おう。手慣れてるね」
「アタシは盗賊狩りしてたらいつの間にかAランクになってたクチだからな!」
「カリーナ。コイツってば
「おっ、懐かしい呼び名だな。今は白銀って呼ばれてっからよ」
うーん、そうなると……テラリアルビーとテッシンの街道はスルーして、もっと別の場所を探した方がいいな。
「そうだ。最近錬金王国が滅んだんだろ? ならそのあたりは治安がヤバイはず。狙い目だな」
「おお! そりゃいいにゃ。暴れ放題だにゃ!」
「お? なんだミーシャ。お前が盗賊になるか?」
「それは遠慮しとくにゃ。私は盗賊を狩る側がいいにゃー、正義の名の下に暴力を振りかざしてーからにゃー。ルールは遵守にゃー!」
「同感。正義ほど気持ちいいもんはねぇもんな!」
言ってることだいぶアレだなこの二人。人は正義の名分があればどこまでも残酷になれると聞いたことはあるけれど……正義ってなんだっけ。うごご。
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