混沌罪
ぶっちゃけその発想はこえーにゃ
ふと暇つぶしを思いついた。
「そういや盗賊っているじゃん?」
「いるにゃね」
「あれって殺していいやつじゃん?」
「そうにゃね」
「じゃあ捕まえたとしたら、何に使ってもいい実験体ってことにならないかな?」
「……言ってることは間違ってないし誰も困らないからいいんじゃねとは思うけど、ぶっちゃけその発想はこえーにゃ」
よっしゃ、ミーシャがそう言うなら間違いないだろう。
というわけで奴隷以上に『何してもいい人間』を手に入れるべく盗賊を探すことにした。
「アイシアにもできない事をしちゃうぞぐへへ」
「やべぇよコイツ、どっちが盗賊か分かんねぇ言動してんにゃ」
まぁやるのは魔法の実験台とかなんだけど。
でもできれば美少女盗賊とか居ねぇかなー。と私は街道を空から探索していく。
尚、拠点の部屋に居ながら窓を作って覗くだけ。盗賊なんて簡単に見つかるだろーって。
……意外と居ねぇな。それっぽい奴。
「ねぇミーシャ、盗賊っぽい奴いないんだけど」
「まー、そこらへんにいても魔物に襲われるだけだろうし、盗賊も普段は村人したりしてるからにゃ。村ごと盗賊って話も多くて、そういうのは野良仕事のない時に副業でやるってカンジにゃよ?」
「まじかよ。普通に村人されてたら盗賊かどうか分からんのだけども」
「ぶっちゃけ襲われるまで盗賊とは言い切れないのが盗賊の厄介なトコにゃー」
……いわゆる盗賊団的に暴れまわってるような奴は少数らしい。
しかも、そういう奴らも盗賊をしていない時は傭兵とかで働いたりしているとか……
「あ。そいやある意味鬼族の里の連中も盗賊にゃん? 私ら薬盛られたしにゃ」
「うーん。言われてみればそうだな……」
かといって今更鬼族の里の連中をなんかしらの実験体にしようとかいう気にはなれない。
アレはもう私の収納に入ってるしなぁ……
どうにかして盗賊を……現行犯のヤツ、どっかにいれば話が早いんだけどなぁ。
「がんばって街道を探してみるしかないか……?」
「おーおー。治安維持に貢献するがいいにゃー」
それも、攻撃を仕掛けた瞬間を偶々目撃するのが望ましい。
その攻撃を未然に防ぎ、被害者が何も気づかないウチに実験体だけゲットすれば(盗賊以外は)誰も損しない素敵な世界さ。
「ってかカリーナ。おめー、男ダメなんじゃなかったっけ? 盗賊って大体男にゃよ?」
「そこはほら、魔法とかあるし女盗賊もいけるでしょ……いるよね?」
「いてもオメー好みの美少女とかは絶対いねーにゃ。そんな顔が良い奴は町で娼婦か詐欺師してるにゃよ」
確かに!?
「……急激にやる気がそがれたわ」
「あー、でもホラ。あれにゃ。盗賊の娘とか、盗賊の奴隷とかに美少女いるかもにゃ」
「ほう、詳しく」
「例えば盗賊が貴族の馬車襲うにゃ? 美少女なお嬢様を捕まえたとするにゃ。売るにしても間違いなく足がついて売れないから、アジトに連れ帰って非合法な奴隷に……そしてそのうち子供も生まれ……母親似の美少女で……ってにゃ?」
「オッケーやる気出てきたよミーシャ! ちょっと治安向上に一役買うとしますかぁ!」
かくして、私の盗賊狩りが始まった。
……あっ、ディア君達には内緒だかんね!
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