どんな邪神に捧げる贄なんでしょうか


 ヨウキちゃんから既に売られた鬼族の救出を手伝ってほしいと頼まれた。

 しかし、ぶっちゃけ義務も義理もない。


 なので、手伝うならきちんと報酬をもらうことにしたい所存。


「……お、お願いします! 私を助けると思って!」

「別にヨウキちゃんを助けたくてたまらない人じゃないからね? 私達」


 私がそう言うと、うぐっと口ごもるヨウキちゃん。


「そもそも報酬が欲しいなぁ? 人間離れした可愛さを持つ私たちのお姫様だって生きるのにお金がかかるんだよ、タダで仕事しろっていうのは違くない?」

「い、今は里の方でお食事ご用意してるじゃないですかぁ……一宿一飯の恩義とかそういう感じのなにかこう……ありません?」

「ありませーん。ドラゴンを貸し出してるのでむしろ貸しがデカいでーす」


 そう、ギャルドラにキリゴン、2体がここで平和的にゴロゴロしている。実在するドラゴンの脅威を完璧に抑え込んでいる。

 金額に換算したら宿泊費なんて足元にも及ばないだろう。


 もっとも、私達が別の脅威であるという一面は否めないが、話も通じるし危害を加えられなければ大人しい――いや、薬盛られても大人しくしてるんだし、安全だろう? な?


「とはいえ、袖振り合うも他生の縁。特別サービスということで、里の女たち一同の靴下――それも、何日か履いて臭くなった奴。それをくれたら、少し手伝ってあげるのも吝かではないよ」

「……うん?」


 と、目をぱちくりさせるヨウキちゃん。まぁわかる。いきなり臭く履き古した靴下をくれれば手伝ってあげると手のひらを返されてもそうなるよね。


「なぁに、ちょっとした儀式の生贄みたいなもんさ。色々と複雑な事情と手順の結果、なんやかんや、『使い古しの洗ってない臭い靴下』、できれば『羞恥心がたっぷり込められたもの』が必要になった。そういう感じさ」

「ぎ、儀式の生贄??? ま、まぁ、魔術的な意味がちゃんとあるってことなんですね。どんな邪神に捧げる贄なんでしょうか……」


 この世界のメイン神様やぞ。多分。……だよね?


「と、ともかく、それで良いなら……里長として、女衆に靴下の提供を命じますので……」

「マジかよ。早速支持率下がりそうだな新里長」

「むしろ本来高額な報酬を靴下で済ませたとなれば、あがるかも……?」


 そう。ついでにいうと、商人と通じて女を売っていた里長は引退し、ヨウキちゃんが新たな里長になった。

 やらかした里長の娘ではあるものの、元々次の里長として育てられていたし、私達を呼んだ功績もあるらしい。

 ……色々押し付けられたとも言えなくもないが。


「約束だからね。もしダメだったらヨウキちゃん監禁して里全員分と同数の靴下を生産するまで帰さないからね。角を折って辱めも追加してやる」

「お、おー……や、約束は守りますとも、私は。薬盛ったりもしませんから!」


 すこし及び腰になりつつも、ヨウキちゃんはそう言った。

 言ったね? では協力してあげよう。


「じゃ、まずは里の安全を確保しようか」

「え? 結界とかですかね?」


 私は指を鳴らす。


「はい、これでオッケー」

「? なにかしたんですか?」

「うん、この一帯を収納した」

「え? 収納?」


 そう。今、里のあった一帯は――ゴリッと抉れた更地になっている。

 あとは跡地をギャルドラとキリゴンに蹂躙してもらって、ドラゴンが暴れて更地になった場所、とでも擬装すれば完璧だろう。


 その後はギャルドラ達も収納してやれば安全安全。ふふふん。


「あと、とりあえず奴隷になってた鬼娘の角でも治しとく?」

「……え、できるんですか?」


 まぁ里一つ分の靴下くれるってんなら安いもんよ。

 神様だってそう言うと思う。……あの神様なら間違いなく言う。絶対言う。100%超えて500%言う。




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