え? なんで?
で、私達的にはもうやることやって解決したんだけれども――
「――それで、他の鬼族の女たちは?」
ヨウキちゃんが粗末な服を着た商人達――無一文にされたので、元商人達、に尋問する。
「……もう売り払ってしまっていて」
「いちいち記録も残してませんでしたので……」
「思い出せるだけ思い出しなさいッ! ドラゴンの餌にしますよッ!?」
「ひ、ひぃい!!」
どうやら最新の一人以外は、既に売られてしまっていて追えないらしい。
シンボルである角も削り切ってしまっていて、外見は人間とさほど変わらない奴隷になっているわけだ。見つけるのは非常に大変そうだねぇ。
そんなわけで、こちらは鬼族の里的には話が終わっていないのである。
『おうワレ、何勝手に俺の献立決めとんじゃ。テメェ齧ってやろうか? お?』
「ほら! ドラゴンもやる気です、キビキビ吐きなさい!」
『いやオマエの方なんじゃが――』
尚、キリゴンを付き添わせている。そこら辺に座ってろって言っただけで、ヨウキちゃんの命令を聞けとかは一切言っていない。
そしてキリゴンもヨウキちゃんに協力する気は特にない、のだが、ただそこに居て鳴くだけで、元商人達の口はヌルヌルに滑って浮遊魔法をかけたかのように軽くなる。
「あ、あれは帝国の大手奴隷商でっ! と、と、と、問い合わせれば、お、追えるかもなのでっ!」
「わ、我々をここで殺したら追えませんぞ!? いいんですかな!?」
「2人いるし、1人は別に……ねぇ?」
『3人齧ってやろうか? お?』
「は、話します故、命ばかりは!」
「わ、私には5人の妻と7人の子が……!」
「フフフ、ドラゴンさんの協力があると尋問もスムーズですねぇ!」
『……くっそ、やりづれぇ……!! おーい、姐さん! コイツに何とか言ってやってくださいよぉ!! 言葉通じねぇんすけどぉー!』
キリゴンがなんか言ってるが、私は聞こえないフリをした。
だって言葉が通じないので普通なんだもの。
そして私は今、ディア君とギャルドラの爪をデコっているのだ。
野郎の愚痴より、女の子を可愛くする方が重要だろ? そういうことよ。
『ディア君ちゃん様、センス良ッ! カリーナがやるより全然可愛いし!』
「お姉さん、これは喜んでくれてるんでしょうか?」
「……うん、めっちゃ喜んでるよ」
おかしい。私の方が先にギャルドラと仲良しだったはずなのに……!
ギャルドラの爪にびっしりと宝石をデコってみたのに、ギャルドラはディア君の方が良いと言う……!!
「ていうかギャルドラ、私より良いって、私とのことは遊びだったの!?」
『いやぁー、発想はカリーナだけど、センスの有無は別ってーの? ディア君ちゃん様のセンスが抜群ってーの? カリーナはただスキマ埋めてるだけっての?』
うぐう!! 確かにディア君の方は余計な石をくっ付けておらず、大き目な宝石を中心にまるで紋章のように針金を飾っていて。
それはもう装飾品の彫金のような気品があるけどさぁ!
ギャルのデコっていったらスワロフスキービーズ敷き詰めるドット絵のようなやつが好きなモンじゃないのかなぁ!? ほらめっちゃ光るよ!!
『ま、まー、好きな人は好きなんじゃね? あーしの好みじゃないだけでさ』
「五大老の皆にはウケがよかったのに……宝石一つ一つに付与したらすごい数いけるって……これで魔法陣描いたらどうなるんだろ、とか」
「あの人たち視点が職人側ですからね。宝飾品も作るのでその手のセンスはありますけど、ドワーフ全体の傾向として、デザインより性能ですから……」
逆にエルフは美的センスにも優れてる、ってコト!?
くぅ、なんてこった。ディア君ってば天才だよぉ……!
「……」
あ、ヨウキちゃんがこちらを見ている。チミもデコッてほしいのかね?
と思っていたが、石には目もくれず私達に話しかけてきた。
「あ、あの。売られていった皆を助けるの、手伝っていただけませんか?」
「え? なんで?」
おっと、思わず普通に素で返してしまったよ。
でも私は商人だからな? 何の利益にもならないお手伝いは気が向かなきゃしないぞ。
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