そして数日後。
そして数日後。
「というわけで、これがこいつらの財産だ」
「おっ。サンキュー」
傭兵たちが険しい顔して鬼族の村までやってきて、私に報酬を渡した。
馬車とその中身。その目録をくれた。ほう、気が利いてるねぇ。
「……軽いな、怖いくらいに」
「ん? もっと脅して欲しかった?」
「勘弁してくれ、十分脅されてる」
そう言って肩をすくめる傭兵。
金銀財宝、キラキラの宝飾品、カットされた宝石やらいろいろだ。私は目録を受け取り、目を通す。
すぐに全部を財宝には替えられなかったのだろう、店の商品と
へー、薬を主に取り扱ってたんだねぇ。ポーションとかの魔法薬、軟膏、湿布に絆創膏もあるようだ。これはこれで貰っておこう。
と、ギャルドラがにゅっと首を突っ込んできた。
『お、キラキラ石きたの? どれどれ?』
「おっとギャルドラ、宝石はそっちの馬車の中だよ。あとでまたデコってあげるかんね」
『いぇーい! カリーナまじ
へへ、そんな褒めるなよ。一応私はドラゴンと会話できない設定なのににやけちゃうじゃないか。
ギャルドラは馬車の中から宝石の入った箱を咥えて引っ張り出す。
それから器用に爪でフタを開け、箱の中に並んでいた宝飾品を眺める。
『おっ! いいねこれ、黄色がキレーだわ! ちっちゃいけど他のよりデカめだし、これ貰っていーい?』
「お? 欲しいの? 好きなの持ってきなー、これ大体ドラゴンへの貢ぎ物、というか賠償金だからさ」
『わーい! あとでこれ飾る感じでデコってね!』
と、ギャルドラはカブトムシくらいデカい宝石を丁寧に手にもち、歩いて行った。
「ドラゴンをまるで犬のように飼いならすとは……というか、あの宝石一つで、帝都のはずれに家が建つんだが?」
「ドラゴンにとってはただの『綺麗な石』だよ、傭兵君。ま、彼女にはお土産くらいの価値はある。もう一匹はあんまり興味ない感じだけどね」
「そう、なのか……というか、雌だったのかアレ」
ドラゴンの性別とか、まぁ普通の人は見ても分からんか。ギャルドラ、言動がちゃんと女の子してるんだけどなぁ……
もっと着飾っておけば人間にも雌認識されるようになるかな?
「で、こっちの奴隷ってのは?」
「あっちに連れてきてるが、鬼族の女だ」
「あー、村に返しといて。ドラゴンも別に要らないって言ってた、らしいよ?」
「そうか……ドラゴンの餌になると思って戦々恐々としてたし、さっさと伝えてやるか」
そりゃあ確かに怖いな。
「……それで、この商人達はどうするんだ? もう解放していいのか?」
「ん?」
と、目録とは別に、腕を後ろに縛られた商人達がいる。
宝飾品を全て剥がされ、柄もない粗末な姿になっていた。
「ああうん。いいよ」
私がそう言うと、商人2人はホッとした顔になる。
…釘を刺しておこうかな。
「ただし、鬼族の村にはもう関わらないようにとドラゴン様は言ってた、と、巫女姫様が言ってたよ」
それから若干商人達に空間魔法で圧力(物理)をかけつつ、脅す。
「口をつぐむように。もし誰かが鬼族の里か、ドラゴンに襲撃にきたら、お前らの命は保証しない、とも言ってたからね……あ、姫様が。ドラゴンが言ってたって」
「ヒッ……は、ハイ……!」
「わか、り、マシタッ……!?」
うんうん、意味不明な圧を感じてて怯えている。大変よろしいですわよ。
いまふとこいつらに鬼族の里を隠させようか、とも思ったが、もうこいつらそんな財力無いもんな。口を閉ざすだけで許してやろう。
あ。まてよ?
「んで、傭兵共。お前ら、命が惜しくば……分かってるよな?」
「お、おう……俺らも絶対この里のことは話さねぇよ。だが、ドラゴン自体はデカいから、帝都から見られたらバレるぞ?」
「できるだけ噂とかの火消しも頼むよ。いいよね?」
「……オウ」
もしもディア君に傷がついてたらこの程度じゃなかったから、そこは喜んで欲しいね。
……あ、ミーシャの尻撫でとく? 一回だけなら許すよ。
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(以下お知らせ)
2巻、発売!!!
そして、重大発表!! コミカライズが決定しましたわーーーーーー!!!
コミカライズ担当は、かんむり先生(@kannmuri0227)でしてよ!
早速1話ネーム見せてもらったんだけど、めっちゃ良い感じに面白くなってましたわ!
あの「おにまい」も載ってるComicREXにて連載しますのよ! 読んでね!!
(尚、めっちゃ忙しいことになってて執筆ペースは落ちてますわ……!)
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