誤解する方が悪いにゃん
あっさりと帝国に密入国した私達。目的の鬼族の里はすぐそこだ。
……つーか、マジ早いなアーサー。徒歩一か月をひとっとびとか。
『自分、サンダードラゴンなんで!! 久々に全力出せたっすよー!!』
「その割に元気じゃん? まだいけるカンジ?」
『フッフッフ、移動力なら姐さんにも負けないっす』
「ほう。私ここからテッシンまで徒歩1歩で行けるが?」
『……すんません負けました!』
まぁサンダードラゴンの機動力があるっていうなら、今後コレを前面に出すことで前の町から1日くらいで次の町に着いた、と言っても大丈夫だろう。魔道具の車より、ずっと早ーい。
んで、ドラゴンに怯える鬼族の里に直接ドラゴンで乗り付けるのもなんなので、近場にこっそり降りて徒歩に切り替える。
コンテナを格納。アーサーも小さくなり、ディア君を守るようにその足元に控えた。
そしてミーシャを仲間に加えた代わりに、アイシアを拠点の方に戻しておいた。私が守るからといって危ない場所に連れていくのはなんだし、どうせいつでもどこでも帰れる場所である。
私についてこれないのを少し渋っていたが、拠点からこちらを覗ける窓を作って見れるようにすることで納得してもらった。前に海賊の尾行につかった技だね。声も届くぞ。
「あの、ハーフドワーフの方はどこに……? 箱の中にまだいましたよね?」
「そうだね。さぁ、それじゃ行こうかヨウキちゃん?」
「や、その」
「ただのお留守番だよ、気にしないで。ほら、行こうか? ドラゴンどうにかして欲しいんでしょ?」
「え、ええ……巫女姫様、従者の方々、私についてきてください」
と、ヨウキちゃんの先導に、私、ディア君、ミーシャの順でついていく。
完全に
「アーサー、ミーシャ、姫をちゃんと守るんだぞ!」
『うっす! 了解っす姐さん!』
「おう! 任せるにゃー! でもドラゴン出たら任すにゃ!」
えい、えい、おー! と一致団結する私達。
「あの、姫って……むしろお姉さんだってドワーフの王子身分あったりで……いやもういいです」
「にゃ? カリーナ王子だったにゃ?」
「内緒だよ? ミーちゃんに偽造身分証作ってもらったんだ」
「フツーに犯罪じゃね???」
失敬な、ちゃんと
鬼族の里は基本的に木造で、堀と木製の柵が里を囲っている。どこか和風で、戦国時代あたりの農村みたいな雰囲気だ。
「巫女姫様、先に村に入って説明してきます。しばらくお待ちください」
ヨウキちゃんがこちらを見てそう言ったので、私たちは里の手前で待機だ。
もちろんその視線はディア君に向かっていた。
「なるほど、巫女姫にゃー。ディアちゃんお姫様だもんにゃ!」
「そうそう。今日の私達はディア君に仕える付き人って設定ね。ヨウキちゃん絶対そう思ってるしミーシャもよろしく」
「そっか、トップを勘違いさせてるんにゃね。そいつぁ楽しそうにゃ! カリーナのペットよりディアちゃんの従者の方がいいし乗ってやるにゃ!」
親友ならそう言ってくれると思ったよ。
「えぇ……その、えぇ? お姉さん、ミーシャさん、誤解は早く解いた方が良いと思うんですが」
「誤解する方が悪いにゃん。それに、相手が何か企んでた時はこの誤解が生きてきたりするもんにゃ。バラすにしても信用できると判断してからだにゃ」
ミーシャにそう言われて、「むぐ、確かに」と納得するディア君。
こういうところ、案外ミーシャはしたたかなんだよな。
あ。かくいうミーシャもまだ五大老のことパチモンだと思ってるんだけど、こっちはただ
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