隠れ里とドラゴン

遊びに行かねば


 ディア君がなんか可愛い女の子を連れてきた。

 浮気か!? と一瞬身構えてしまったが違うらしい。


「というわけで、故郷がドラゴンに襲われてるらしいんです」

「なるほど。まったくディア君は優しいなぁ」


 よしよしと頭を撫でる。ドラゴンに生贄に……なんて、いかにもでちょっとわくわくするところあるよ。


「じゃ、いってみようか! その里ってとこ?」

『え、まじっすか姐さん』

「ディア君の大会終わるの待ちだったしねー。それに、ほっといたら穢れを知らない女の子が生贄になっちゃうんでしょ?」

「さすがお姉さんですね。そう言うと思ってました」


 と、ディア君が褒めてくれたが、別にそれほど殊勝な考えではない。

 だってもったいないじゃん。ドラゴンの餌にするくらいなら私にくれよって話じゃん? 神様だってドラゴンの餌にするより靴下作らせた方が喜ぶよ。


 まぁわざわざ言わないけどね。好感度下がるようなこと。


「でも、もちろんタダってわけにはいかないけどね」

「えっ、あ――」

「そうですね。無償というわけにはいかないでしょう。ドラゴンと交渉できるという特技に対して、ちゃんと報酬を払うべきです」

「――はい、勿論です……」


 何か言いたそうなローブの子だったが、ディア君が私に追従したことで口を閉ざす。見返りはガッツリもらってくのが私達だぜ!


「あ、報酬についてだけど。今んとこお金は十分あるから、要らない神器か靴下でいいよ」

「えっ、靴、下? え、神器か靴下って……あ、聞き間違えました。すみません」

「いや合ってるから。まぁ色々条件はあるけどね」

「……?? はい? はい……???」


 盛大に疑問符を浮かべているローブちゃん。この子も可愛い顔してるし、おっぱいも地味にデカそうだし、靴下の価値も期待が持てるな。

 まだ見ぬ生贄っ子の靴下と合わせてセットで納品したら神様が喜びそうだ。


「そうだ。ミーシャも誘ってあげようかな?」

「……そういえばあの人いつの間にか住み着いてるんですけどいいんですか?」

「まぁペットだからね。鍵も渡しちゃったし」


 神様お気に入りの尻の持ち主、ミーシャ。あいつは猫獣人らしい気ままさで、いつの間にかウチの拠点のペット枠を勝ち取っていた。

 先輩ペットのアーサーにはすぐお腹を見せる序列最下位でありながら、ディア君やアイシアは守護まもる存在だと認識しつつ、私やマシロさんに事あるごとに勝負を挑んでくる。そんなペットだ。

 尚、家賃として「尻」を差し出しており、五大老のみんなが尻の研究中だ。(あといまだにパチ五大老と思っているし弄ばれている)


「……あの、えっと、その、できれば巫女姫様とドラゴン様だけで……隠れ里なので、あまり人を呼ぶのは……」

「何? 隠れ里だって? それはますます遊びに行かねば」

「お姉さんこういうの好きですよね。ボクもです」

『割とあるっすよ? あ、なんなら今度ドラゴンの里とか行くっすか? 姐さんなら全員捻じ伏せて頂点に立てるっすよ』


 ドラゴンの里。それもいいな……まぁ可愛い女の子とかいなさそうだけど。この世界のドラゴン、人に変身しないってアーサー言ってたもんな。


「あぁ……でも巫女姫だけ、っていうならボクはいけませんね?」

「……うぅ……わ、わかりました! お付きの方もご一緒で良いです……」

「だって! よかったねディア君!」

「はい!」

『この場合、お付きの方ってディア君ちゃんっすか? 姐さんっすか?』


 ハハハ、ヤボなことは言いっこなしだぜアーサー。言葉って難しいよな!


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