勝利宣言



 かつてない激しい戦いだった。

 決勝戦。勝利を手にしたのは――私だった!!


「はぁ、はぁ……あぶなかった……ッ!」

「ぐぬぅぅぅ、テメーが魔法で兜被るの、もう1戦分早く禁止されていれば……ッ」

「まぁそれでも腕にリング残ってたから、勝敗的には私の方が勝ってたよ」


 尚、ルールは色々禁止が追加されて最終的には普通の叩いてかぶってジャンケンポンの勝負になっていた。


 ……ミーシャの後だしを封じるために観客からそれを見切れる審判が出てきたりすんだもんよ。私だってこっそり魔法使うわけにはいかねぇじゃんよ? ルール追加で禁止されるまでは使ってたけど。

 (尚、追加の通りすがり審判は覆面を被ったガロウ将軍だった。暇なの?)



 股間を尻尾で隠し、胸を左腕で隠し、最後の一枚、パンストを脱いで私に献上するミーシャ。

 対する私も、髪で胸を隠し、ノーパンでパニエ1枚を残し、左手では尻のラインを隠しつつ右手でホカホカのパンストを受け取る。


「とったどーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 パンストを掲げ、勝利宣言。


「優勝は、カリーナ選手だぁあああーーーーーーーー!!! かつてない熱い戦いを繰り広げた両選手に、盛大な拍手を!! あとどこのお店にいけば指名できますか?」

「非売品です!!! 残念だったな!!!」

「ええー! そんなご無体な!! っていうか激しく動いておっぱい揺らし放題なのに見えないってその髪の毛なんなの!!」


 私は脱ぎ捨てた自分の服を拾って抱え、そそくさと選手席へ戻っていった。


「ディア君、勝ったよ!!」

「お、おめで、とう、ございます……あ、そ、そのっ、早く着てくださいっ! 服っ!」

「おっと、ゴメンゴメン」


 顔を真っ赤にしてあわあわするディア君。手で顔を隠しつつ指の隙間から……見てない! なんだと!? 私なら絶対見てるシチュだぞ!?


 と、服を着なおす。


「……あの、大会も終わったしボクの服も着せてもらっていいですか? 一人だと着れなくて」

「あ、そうだね。ていうか大会終わるまで律儀に脱いでるとかほんと誠実だなぁ」

「だって、そういうルールでしたし……」


 パチンと指を鳴らせば、ディア君もゴスロリドレス姿に戻った。

 ……ふぅ、とホッとしてるけど、可愛く着飾った女装姿だってちゃんとわかってんのかな? もうすっかり女の子だね……!


 ファイトマネーももらえたし、ディア君のアクセサリーでも買おうかな……いや、素材になりそうな宝石を買って五大老かよいづまのみんなに加工してもらうのがいいかな?

 工賃は実費で、技術料分はベッドで払うぜ!


 と、ミーシャも賞金を持って戻ってきた。


「うにゃぁあああ……もうお嫁にいけないにゃぁ!! てめーのせいにゃよカリーナ!」

「えっ、大会誘ってきたのミーシャじゃん。自業自得じゃね?」

「おめーが大人しく負けてればよかったのにゃ! 私は戦いがしたかったんじゃねぇ、おめーに復讐したかっただけなのにゃあああ!!」


 まぁ今回は私も十分恥ずかしい思いしたし、それはちゃんと復讐できたんじゃないかな。


『あ、カリーナちゃん。納品、納品! それとミーシャちゃんも連れてきてね! ちょっと調べたいことがあるので』


 えっ?……え? 調べたいことって何だろう……


「……あー、その。ミーシャ、話があるからちょっと来てくれる?」

「えー、なんか嫌にゃんだけど」

「その、断れない筋から念話が届いた……いや、神託……っての?」

「……は??? え、冗談やめろにゃ。神様騙ったら神罰おきるにゃよ? なんか最近それで国が滅んだらしいにゃよ?」


 大丈夫大丈夫、ウチは本物ガチだから。


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