禁止でお願いします

「……ハッ!? 尻尾で隠せばよくね!?」


 と、ミーシャは尻尾で尻の割れ目から前にかけてを隠した。パンストが尻尾にずらされて尻は少し見えたが、危ない所はきっちり隠せた。


「そんな! ずるいぞ!? もっと丸出せよ!!」

「にゃーっはっはっは! ずるくねーし! 体の一部を使ってなにが悪いにゃぁーーー!!」


 得意げに高笑いするミーシャ。でも私にジャンケンでも叩いてかぶっての攻防でも勝てないのは変わらないんだけどね?



「あ、カリーナ選手。この次から魔法の妨害? っての禁止でお願いします」

「えッ!? いきなりなんで!?」

「いやぁー、我々、そろそろカリーナ選手が脱ぐとこも見たいんで……」


 あー、そっか。なら仕方ねぇなぁー。


「……ってなるかぁ!? ルール変えてくるとか卑怯やぞーーーー!!」

「にゃーっはっはっは! 審判がこう言ってるんだから従うがいいにゃぁーーー!!」

「ぐぬぬぬぅうう!!……妨害しなかったらいいんですよね!?」

「まぁ、最初みたく相打ちとかならいいっすよ? 脱ぐのが見たいだけなんで」


 ……よっしゃ! それならライフ差でこちらが逃げ切れる!!


「「叩いてかぶってジャンケンポン!!」」


 と、私とミーシャはまたも曖昧な手を出す。これで相打ち、お互い一枚を――


「――ミーシャ選手チョキ! カリーナ選手手なしのため、カリーナ選手の敗北!」

「え!?」

「にゃーっはっはっは!! 見切った、見切ったにゃ! おめーの手は私の右手・・に連動してたからにゃぁ……」


 ニヤリ、と笑ってミーシャはチョキを見せる。左手・・の。


「そう! 左手にゃ!! 両手のうち片方が曖昧でもう片方がしっかりした手なら、それは当然しっかりした手が有効に決まってるのにゃ!!」


 勝ち誇って笑うミーシャ。賢いじゃねぇか、畜生め!


「さぁー……上の服、脱いでもらうにゃ!! 知ってるにゃよー? ディアちゃんのとお揃いで、ワンピースタイプだってにゃぁ! そして、おめーはもうブラがない――つまり、乳を隠すのに片手を使うことになるにゃ!! そうすればお前は片手、私は両手にゃ! もう負けねーって寸法だにゃあ!」

「ぐぬぬっ!! マジ賢いな、急にどうしたミーシャ!」

「にゃーっはっはっは! これぞ智将ミーシャの名前を受け継いだ私の本領発揮にゃぁ!」


 元々ミーシャという猫獣人な名将がいて、それにちなんだ名前らしい。


「くっ、仕方ない――とう!」


 私はミーシャの指定通り、がばっとワンピース部分を脱ぐ。そして――


「……!? 髪の毛で隠す、だとぅ!? で、でも動いたら見えちゃうにゃよ?」

「さぁて、どうだろうな?」

「んんっ?……んん!? どうなってるにゃそれ!?」


 私は空間魔法で髪の毛をぴたっと胸にのせ、先端を隠す。これでセーフである!!

 会場は「見えそうで見えないぞぉーーー! だがそれもいいーーッ!!」と沸き立ったけど!! 先端は死守したよ!


 どうだミーシャ!! 自分の体で隠すというアイディア、パクらせてもらったぞ!


「さぁ、私はまだ両手を使えるぞ?」

「……ククク、こうなったら次はパンツ脱がしてやるしかねぇにゃあ!?」

「パニエがまだ残っているから、先にミーシャの上着が飛ぶぜ……!!」


 ライフ的には五分と五分……さぁ、決着をつけようかミーシャぁあああああ!!



―――――――――――――――――――――――――――

(あっやべ。予約時間ミスってた……まぁいいか)

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