VSミーシャ


 脱衣叩いてかぶってジャンケンポン大会。ついに決勝戦だ。

 尚、私もミーシャも特に問題なく決勝にたどり着いた。


 当然だ、戦っている次元が違う。

 私は魔法でズルしてるし、ミーシャは素早さでよく見ると後出ししてるのだ。


 そんなわけで前の大会から数えて二度目のVSミーシャ戦と相成った。

 シーツを羽織ったディア君に見送られ、私とミーシャは決勝の舞台に上がった。


「さぁ! いよいよ決勝戦だーーーー! まさかのジャンケン無敗、一体何者なんだカリーナ選手! 相対するは神を喜ばす尻! ミーシャ選手だぁあああああ!!!!」

「ふははははーーーーー! その二つ名で呼ぶんじゃねぇにゃぁああああああ!! ぶっ飛ばすぞオメーーー!!!」


 審判の紹介が偏りがある気がする。っていうか神を喜ばせた尻の試合、私が相手だったんですけど? ミーシャばかり注目されてんのなぁ。

 っていうか、こんな大会で実名晒していいんだろうか。私は元々仮名みたいなもんだからいいんだけどさ。


「フッフッフ、逃げずに負けずによくここまで来たニャぁ!!」

「まぁ、逃げる理由がないしね」


 ふふん、と私は鼻で笑う。

 私の懐には、下してきた対戦相手の靴下が3枚ある。これだけでも十分な収穫だと言っていい。


「ほらミーシャ、お前にも靴下を恵んでやろう、付けるといいよ?」

「は? おめーからの施しなんていらんにゃ!!」

「いや、私に秘策のシュシュ何個かくれたじゃん? そのお礼だよ」

「なら遠慮なく貰っとくにゃ!!」


 お礼ならいいのか。やっぱミーシャだな(誉め言葉)


「……ってか、パンストだと1枚分にしかならねーな、地味にケチくさくね?」

「文句言うならしっかり履いたうえで大会終わってから返してよ」

「うん?? わ、わかったにゃ。大会終わったらニャ」


 素直でいい子だこと。と、パンストを履くミーシャを見てホッコリする。


「そうだミーシャ。決勝なわけだけど、私から一つ提案があるんだ」

「なんにゃ?」

「どの服から脱いでいくか、脱ぐのは相手が指定する――ってのはどう?」

「ほう」


 少し考えるミーシャ。


「……いいにゃ、受けて立ってやるにゃ!! どうせ全部脱がすまで降参は認めねぇからにゃぁああ!!」

「素晴らしい。ミーシャなら受けてくれるって信じてたよ……!! もちろん、私も最後の最後まで降参は認めない方向でいってあげよう」


 これで靴下を最後に回収できる。クックック……計画通り!!


「おぉっと!! ここでカリーナ選手から異例の提案だぁああ!! 脱がす服を相手が指定する、変則ルールッッッ!! そしてミーシャ選手はこれを受けたぁぁあああーーーー!!!」


 審判の言葉に、おおおおーーーーー!!!! と会場が沸く。

 

「さぁ、公開処刑の時間だ……手加減はしないぞミーシャッ!!」

「それはこっちのセリフにゃ!! 青いケツさらして真っ赤になるがいいにゃ!!」


 私、蒙古斑ないですけどー?


「では行きましょう。両者準備は良いですか?――セット、レディ……ファイッッ!」

「「叩いてかぶってじゃんけんポンッ――!?」」


 びく、と私とミーシャは固まった。


 ミーシャは後出しで手を変える。私は相手の手に連動して手を変える魔法を使っている。

 つまり――両者とも手が確定せず、ジャンケンで出した手があいまいなぐちゃッとしたものになってしまったのだ……!!


「……お、おいおめー、それは……チョキかにゃ!?」

「ミーシャこそ、それはパーなの? グーなの?」


 まるで玉をにぎりかけているような微妙な開き具合のミーシャに、中指と人差し指で銃のトリガーを引こうとしているような手の私。


 ――動けない。勝敗が分からないッ!!

 なんてこった、まさかジャンケン必勝魔法にこんな弱点があったなんて! と、審判を見る。


「……双方ジャンケンの手になっていないため、ドロー!!! 両者1枚脱いでください!!!」

「「ッ!?」」


 そぉーーーきたかぁ!!


「わ、私は負けてねーにゃ!? これはあいこじゃねーの!?」

「……だってそうでもしないと決着付きそうにないし。どっちもガチだから、仕方ないっていうか」


 ミーシャから物言いが入るが、大会進行のためという真っ当な理由で却下された。まぁ私が観客だったらはよ脱げって言いたくなるし、凄く正しい判断だと思う。


「……じゃあミーシャ、パンツ脱げ、パンツ」

「は!? じゃーテメーはブラ脱げにゃあ!!」

「お互いいきなり下着を指定ーーーーーー!! 流石決勝戦、最初から全力だぁーーー!! 果たしてこれはどうなってしまうというのかーーーー!?」


 私は服の中でブラを脱ぎ、するりとブラを取り出す。

 ミーシャはパンストごとパンツを脱いだ。


「ミーシャ、パンストはちゃんと履きなおせ! 私が脱げって言ったのはパンツだけだぞ!」

「んんッ!? なんにゃ、律儀なヤツめ……ちょっと待つニャ!!」


 と、ミーシャはパンストだけ履き直す。片足ずつよいしょ、よいしょと。

 つま先まできっちり履いて、ぴちっと綺麗にパンストを履く。そのどこか艶めかしい動きに会場がミーシャに釘付けになっていた。


「……!! て、てめぇ! これが狙いか!?」

「え、いやしらん。でもミーシャ可愛いし視線が釘付けになるのも当然だね?」

「お、おう。……まぁおめーも見た目は可愛いにゃよ?」

「まさか口説いてる? いいぞ親友、ウチに招待してやろうか? ドワーフの酒ご馳走してやんよ」

「誰が親友にゃぁ!?」


 え、ちがったっけ? ともかく、私とミーシャは引き続きジャンケンをつづけた。


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 「いつかお嬢様になりたい系ダンジョン配信者が本物のお嬢様になるまで」

 https://kakuyomu.jp/works/16817330667768391252


 の方なんですが、なんか無事足りなかった4万字書けましたわ!

 これで10万字いくのでカクヨムコン9参戦できる……!

 読者選考もあるので、評価してくれると嬉しいです!)

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