魅惑のエルフ選手(観客視点)
この大会では、申請しなければ名前を公開されたりすることはない。
大体名前を公表するのはプロの娼婦で、その名前もお仕事用の偽名――いわゆる源氏名――だ。
そんな大会なので、正体不明の美少女、魅惑のエルフ選手について、観客は大いに盛り上がった。
「はぁはぁ、あのエルフちゃん、大丈夫なのかよ。条例とかそういうの的に」
「エルフなら実年齢は高いし、ギリギリなラインっぽくねぇか?」
一戦目では、最強で最弱な熊獣人娼婦と当たっていた。
その熊獣人は全身が毛皮の獣度が強いタイプ。
最強、は、おそらくこの大会にでるような一般人からはかけ離れた猛者であり、普通に大会や狩りに出た方が稼げるだろうお前、という強さから。
最弱、は、脱ぎたがりの露出癖持ちで、お店で働いている負けても良いプロ枠であるということから。なにより、わざと負けたりするのだ。
……まぁ、そう呼ばれるくらいには、この大会の常連参加者である。
そして2戦目、猫獣人とぶつかって、負けてしまった。
健闘はしたが、パニエ2枚と上の肌着のみという、とてもそそる姿で舞台を後にしていた。
というかこれも相手が悪かった。なにせ相手は先日別の大きな大会で準優勝した猛者だ。場違いにも程があると言わざるを得ない。
「エルフの選手、相手が普通の女の子だったら完封できてただろうな。運は悪いとみえる」
「にしても、あんな美人がどうしてこの大会に出てきたんだ?」
「さぁ……? あ、でも俺、あの子のこと知ってるぜ。……あの子、テイマーなんだとよ」
「テイマー? それって、魔物に戦わせて本人は弱いってヤツだろ?……ああいや、魔物に言うこと聞かせるために、それなりに強いのもいるけどさ」
あの子はそんな凄腕には見えないよな、というと、「チッチッチ、それがなぁ~」と否定される。
「それが、なんだよ? 勿体ぶるんじゃねぇよ」
「あのエルフの子、『従魔杯』優勝してたぞ。それもドラゴン一匹連れて」
「は? ドラゴン??? え、ドラゴンって、あのドラゴン!?」
「他にどのドラゴンがいるんだよ。そうだよ災害とか言われるヤツだよ」
だからこそ、よく覚えてたんだよ。という男。
「……ますますそんなのがなんでこんなふざけた大会に出てるんだ? いや、俺としちゃ嬉しいけどよ」
「案外好きモノなほうかもしれんぞ。見られたいタイプなのかも!」
わくわくと楽しそうに言う男。
「だったらすげぇエロガキだな」
「あの透けたパニエから見える尻のシルエット、たまらんかったな!」
「ああ。ありゃ将来すげぇ美人になるわ。胸はわからんが……」
エルフの女の子の将来を想像し、満足気に頷く。
その後もエルフ選手について色々と議論――主に、こういう格好が似合いそうだとか、きっと体を洗う時は耳から洗うんだとか、そんなたわいない雑談を続ける。
やはり珍しい種族、そして飛び切りの美人ということもあり、議論は花を咲かせ、お花畑になった。
――ただ、そのエルフの女の子が、実は男だということは、ついぞ気付かなかった。
……気付いていたらショタ性癖の扉が開いてもおかしくなかったので、それはそれで運が良かったというべきか。
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(カクヨムコン9に出してる新作、
「いつかお嬢様になりたい系ダンジョン配信者が本物のお嬢様になるまで」
https://kakuyomu.jp/works/16817330667768391252
の方なんですが、文字数が既定から超大幅に足りてねぇので、ちょっとそっちの更新に少し集中しますわ!!
てっきり2月いっぱいで締め切りかと思ったら2月1日が締め切りじゃんよぅ!)
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