ディア君VSミーシャ

 ちなみに一度脱いだ服は着てはいけないルールとなっている。

 が、それは有名無実な暗黙のルールであり、別に着ても良い。

 むしろ脱ぐところがそそるので脱ぎ過ぎたら着ろという話だった。


「スゲェ緩いなこの大会。不正し放題じゃね?」

「カリーナお前これがそんなまじめな大会だと思ってたのかにゃ?」

「それもそうだ、最初からふざけてたわ」


 あるのは女が脱ぐところを見たいというエロ心。そんな大会だったわ。

 そんなこんなで、次はいよいよディア君とミーシャの戦いだ。



「……お姉さんはボクが守りますので!」

「はっはーー! その意気やヨシにゃぁ!! コテンパンに脱がしてやるッ!」


 マイクパフォーマンスで煽るミーシャ。さっそく一回目のジャンケンが始まった。この戦い――どちらが脱いでも美味しい。私得かな?


「「叩いてかぶってジャンケンポン!!」」


 ディア君がグー、ミーシャがパー。そしてミーシャはその開いた手でそのまま棒を掴み――すぱぁん! と、兜を叩いた。ディア君の防御が間に合ったのである。


「……ッ、やるじゃにゃいか! ディアちゃん!」

「っ、ギリギリでした……!」


 この大会始まって以来、初のジャンケンガチ勢同士の戦い。いやまぁ、他の参加者が全員ゆるゆるなのと、強くても脱ぎたがりだったのと、せいぜい普通の一般人女性だったのとで、そこまで激しい戦いはほぼ無かった。


「ジャンケンポン! くらえにゃ!」

「くっ!」


 またもジャンケンでミーシャが勝つ。ディア君は防戦一方だ。と、ぽすん! と棒が兜に割り込んでディア君の頭に乗った。


「フッ、さぁ脱げにゃ」

「ッ……はい……」


 ディア君は律義にルールを守っており、先の試合で脱がされた腕のリングはもう残っていない。さて、どこを脱ぐのか。ヘッドドレスかなぁ――


 と、思っていたら、ディア君はスカートを少し持ち上げ、中に手を入れた。


「「「ッ!?」」」


 恥ずかしそうにスカートの中でごそごそ動く手に観客の注目が集まる。そしてディア君は――ガーターリングをするりと脱いで、床に脱ぎ捨てた。


「……っぶねー! いきなりパンツ脱いだかと思ったニャ!?」

「いやその、いただいたリング、腕に付けきれなかったので……足にもつけてまして」

「くっそドキドキしてきたにゃ……何個渡したか覚えてねー……降参するなら早めににゃ!」

「……僕が勝ちますし!」


 ディア君はまだ諦めていない目でキリッとミーシャを睨む。可愛い。好き。


「「ジャンケンポン!!」」


 と、ここでディア君がジャンケンに勝利した。そして、スパァン! と即座にミーシャの頭が叩かれた。


「よしっ!」

「お、おおぅっ、私に一撃を入れるとは……やるじゃにゃいかディアちゃん!」


 ミーシャは腕に付けていた布リングを外す。まだまだHPは多く残っている。

 そして小声で何か言う。


「……多少は脱がさせてやらねーと、面目立たねぇもんにゃ。うん」


 ――ディア君には聞こえなかったようだが、私は魔法でばっちり聞こえた。

 ミーシャお前……やっぱ良いやつじゃないか!!


 しかもディア君が痛くないように結構手加減して叩いてるし。ホントあの大会の時はごめんよ、なんもかんも神様ってヤツが悪いんだ。



 そしてディア君はミーシャのHPを削りつつも、その3倍は負けて、叩かれて、ガーターリングを脱いでいった。


「とぉりゃ!」

「あたっ!……むぅ、またやられましたか……」


 と、ディア君がまたスカートに手を突っ込む。またガーターリングか、と観客もすこしドギマギしつつも慣れてきた感じで見守る。


「……」


 と、ここでディア君の手が止まった。頬が少し赤くなる。


「……ッ、いや、でも……」

「ん? どうしたニャ?」

「な、なんでもありませんっ!」


 と、ディア君はズッ! と脱ぐ。しかしそれはガーターリングではなかった。飾りのついている真っ白なその布は、足を通す穴が2つ。足を2回上げその布を脱いで、ぱさりと床に脱ぎ捨てる。


「……!! おお!!」

「あれがエルフの……ぱんつ!」

「これは寿命が延びるわ……ありがたやありがたや」


 そう、ついに脱いでしまったのだ。おパンツを! ディア君が! つまり今ディア君は――履いてない!!!!


 エルフ耳が赤くなっている。

 これには観客も大いに盛り上がった。布一枚でこれほど盛り上がる大会ってなんなの。ガーターリングと穴の数が違うだけじゃん? でも良く分かるぜ……!


「ディ、ディアちゃん……まさかパンツ脱いだのかニャ!? ノーパンにゃ!? 先に頭のフリフリとか外せばいいのにどうして!?」

「この装備、セットなので……」

「オシャレの為だというのかニャ! や、やりおるにゃ……!」


 いや。セット装備でヘッドドレスとかに効果があるからだな。どこか外してしまうとどこで影響でるか良く分からない。特に素早さ上昇効果が消えたら、素のディア君の力ではミーシャにはもう勝てないだろう。


 そのための、覚悟の脱ぎパンツ……!


 ディア君……骨は、いや、靴下は拾うからね……!


「うう、続けますよっ!」

「お、おう」


 やや内股にモジモジするディア君に、ミーシャは2回ほど連続で負けたが、その後普通にディア君が脱がされていく。が、ヘッドドレスを脱いだ時点で素早さががくんと落ち、ディア君は勝てなくなった。


 一枚、また一枚とディア君は脱がされていく。ドレスはスポッと一枚扱いで、一気に薄着になると、会場中でゴクリと生唾を飲み込む音がした。


「こ、降参しろにゃ! それ以上脱いだら……ケツが丸見えるにゃよ!?」

「……うぐ。降参します……」


 一枚一枚丁寧にドレスを脱がされ、スケスケのパニエを2枚と上半身の肌着というあられもない姿にされて、ようやくディア君は降参した。


 ディア君、がんばったね……この仇は私がとるから。

 おのれありがとうミーシャ!! いい戦いだったッッ!!



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 書き溜めないんだが、これ間に合うのかな……?

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