ディア君VSお姉さん(全身タイプ熊獣人)(前半戦)


 というわけで、私は一回戦目をアッサリ勝利した。


 え、だって私負ける要素ないよ? なにせ魔法禁止じゃないし。

 相手の心を読んだわけでもないけど、空間魔法で相手の手と私の手を連動させることで必勝できるのだ。


 相手の薬指が開いたら、私はチョキを出す。それ以外はグー。これだけで勝ちかあいこになる。

 これだけだとパーが出ないので、パターン2として相手の人差し指が開いたらチョキ、それ以外はパーというのも用意した。これも勝ちかあいこだ。


 相手の指に連動して自動で私の手が動くだけなので、相手には気付かれることがないジャンケン必勝魔法だ。ガハハ、勝ったな。

 あとはポコポコ叩くだけよ。


 初戦のお姉さんはガチじゃないプロ勢さんで、むしろ私が露出しないで自分だけ肌を晒すことで視線を集められているのが宣伝的に良さげで、WinWinだった。


 あ、相手のお姉さんには試合前に靴下を貸したよ。

 敵に塩を送る、ならぬ、敵に靴下を送る……ってね!

 履いてもらえたものの、真っ先に脱がれちゃったからSP的には期待できないけど。


 よくて10SPくらいかな? 最近なんかわかってきたよそういうの。


『カリーナちゃんも靴下センスが磨かれてきましたね……!』


 神様? ここも神前試合だったりするんですかね。脱衣ジャンケンを神前試合にするとか何考えてんだろ。女神様やぞ? しかもロリ。


『私は一向に構わんッ!! むしろ脱衣した靴下を神様に捧げるシステムにしといてもらえませんか? その際は私の性癖は隠しておいてください。私のためにとかいう雑味・・入っちゃうんで』


 無茶ぶりが過ぎる。無理っす。


 ついでにミーシャも普通に勝っていた。

 なんかこう、よーーーーーーーーーく見ると後出しでジャンケンに勝ちまくって、うっかり負けても素早く兜をかぶって回避していた。


 相手のウサギ耳さんは一般参加者っぽかったけど、本気のミーシャ相手に一枚も脱がすことができなかった模様。肌着になった頃で諦めて降参し、ミーシャがそれを受け入れて勝負がついた。



 で。ディア君VSお姉さん(全身タイプ熊獣人)だ。


「「叩いてかぶってじゃんけんぽん!」」


 ディア君がジャンケンで負けて、兜をかぶる。そこをぽこん、と叩く熊なお姉さん。

 脱衣しがいがない気がするのだが、こういうのも需要あるらしい。


「……ひゃっ!」

「あ、ご、ごめんね? ちょっと強すぎたかしら」

「あ、いえ。大丈夫です」


 腕輪をシャラシャラつけている熊お姉さんが思わず謝る。


「エルフの女の子って悲鳴もかわいいのね……目覚めちゃいそう」

「……次行きますよ?」


 そして次のジャンケンではディア君が勝利。と、同時にスパーンッ! と叩く音がした。


「あらあら、お姉さん叩かれちゃったわ」

「ふぅ……これがボクの本気ですっ!」


 そういえば五大老工房のゴスロリドレスだから、素早さもかなりアップされているはずだ。


「あらあら、じゃあまずはこの腕輪にしようかしら」


 腕輪をちゃりんと1つ外す熊のお姉さん。……と、その細い腕輪が、ずしん! と音を立てて床にめり込んだ。

 えっ。何ソレ。見た目にそぐわない重さだ。


「あ、これダイエットリングの魔道具なのよ。ひとつ10kgあるの」

「……こ、これは強敵ですね……」

「これを全部外したら、私も少し本気を出そうかしらね」


 ダイエットってレベルじゃねぇぞ。下手したら腕スパンって切れちゃうわ。

 あと片腕に5個ずつついてるんだけど? 両腕で100kgってコト?


 これはホント強敵だぞ、どうするディア君……!


―――――――――――――――――――

(単純に2話分程度に長くなっちゃったので分割。次回は明日)

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