叩いてかぶってジャンケンポン!!



「「叩いてかぶってジャンケンポン!!」」


 その小気味よいリズムの掛け声で行われるジャンケンは、まさしく私の知っているルールそのもので、グーチョキパーで勝敗が決まるアレだった。

 その後、半球状の兜と丸めた毛皮の柔らかい棒。勝った方が棒で相手の頭を叩けば一勝、負けた方は兜で防げればセーフ。


 完全に知ってるルールだった。まぁ銭湯とかあるし今更驚くこともないね。


「そこに脱衣が加わると……なるほどね……なるほど!」


 二人の麗しい女性が、一回戦から激しい攻防を行っている。

 どちらも毛の少ない人に近いタイプの獣人で、黒豹とタヌキの耳と尻尾が生えていた。

 二人のお姉さんは、最初はそれなりに装飾品の多い服を着ていた。それを脱がしあっていくのはあたかも薔薇の花びらが1枚1枚落ちていく様に似ている。違うのは、脱ぐたびに色気と魅力を増していく点か。


 ジャンケンの後の攻防についてはかなりお粗末。あまりやる気がなさそうで、むしろ脱ぎたがっているようにすら感じる。

 妖艶な笑みを浮かべつつ、上着を脱ぐ――とみせかけて腕についたレースの布飾りアームバンドを一枚剥ぎ、ポトリと床に落とす。


 一枚、また一枚と服が脱げるたび、観客の男達の目は血走り、歓声が沸いた。


「うぉ、すっげ……エロくね?」

「おいおいカリーナ。怖気づいちまったかにゃぁ? てめーみてーな田舎者の生娘にゃちぃっと荷が重いかにゃ?」

「いや私生娘じゃねぇよ? 妻も5人いるし」

「……は? 妻? しかも5人……マジ? や、やるじゃん……?」


 おっと、謎に動揺してるぞミーシャ。お前こそ実は生娘だな?

 一方ディア君こそ生娘のような反応で、恥ずかしそうに目を伏せていた。


「ディア君ディア君、一緒に見ようよ! ほら、あの黒豹のお姉さんそろそろ下着に手をかけるよ! もろ出ししちゃうよ!」

「ひゃっ!? や、あ、そのっ! ぼ、ボクはいいですっ」

「カリーナぁ! ディアちゃんをイジメんじゃねぇにゃ! この子オマエと違って純真な女の子にゃよ!?」


 と、ミーシャが私から庇うようにディア君を抱きしめる。

 いやぁ、ディア君可愛くてつい。ってかこの大会誘ったのミーシャじゃん。


「ちなみにあの二人は大会盛り上げのためのプロ枠にゃん。むしろ露出癖があるというか、賞金が無くても進んでこの大会に参加しちゃう系にゃね。お店の宣伝にもなるし」

「へぇ。どこのお店の子? 指名できるの?」

「おめ、おい。実は男だったりする?」


 するよ。良く分かったな。


 その時、ひときわ大きい歓声が沸いた。タヌキのお姉さんがブラを脱いだのである。片腕で先端を隠しつつ、そのお胸をぷにゅっと持ち上げていた。


 と、ここで決着がついた。あれれ? まだ下が残ってて完全に全裸にはなってないんだけど、タヌキのお姉さんが降参。黒豹のお姉さんがそれを認めての決着だった。

 スタッフがタヌキお姉さんに毛布を被せて身体を隠す。


「あれ。降参ってできるの?」

「相手が認めたらいいのにゃ。まぁ続けてもいいけど、このくらいの方がむしろそそるらしいにゃ?」


 なるほど。さすがプロ枠。これ以上脱がしたい人はお店に来てね、ということだ。


「決勝では大抵全裸になるまで続けるけどにゃ! ククク、てめぇをひん剥くのが楽しみだにゃぁ?」

「ひん剥かれるのミーシャじゃね? その服、それほどHPパーツ多くなさそうだし」

「ふふん! 私には秘策があるのにゃ!!」


 と、得意げなミーシャ。秘策、一体どんな策なんだ……!


「んにゃ? つーかディアちゃん、その服よくよく見たら結構パーツ少なくないかにゃ? ほれ、私の秘策のコレやるにゃ。太ももに一杯付けるといいにゃ」

「え、あ、ありがとうございます」


 と、どっさり山のようなガーターリングをディア君に渡すミーシャ。

 悲報。秘策、秘められてない。

 っていうか、それ渡しても二回戦でミーシャと当たるんだけどな?


「ずるくね? 私にも頂戴よ」

「テメーにやるわけねーだろ!?」

「お? いいのか? 決勝行くまでに私が負けても」

「……貸してやるから絶対勝てにゃ!? 決勝前には返せよ!?」


 なんだよ貸してくれんのかよ、マジ優しいなお前。


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