裏の大会


「くっくっく。この大会は、おめーをとっちめるのに最適な裏の大会にゃ!」

「ほう。どういうルールがあるのか聞こうか」


 ルールとかを聞かずに参加を決めてしまった。魔法禁止だったら逃げる所存。

 しかしその上で魔道具は許可なら五大老かよいづまに全力出してもらうこともやぶさかではない。


「この大会はな――叩いてかぶってジャンケンポン大会にゃ!!」

「たっ、叩いてかぶってジャンケンポンだとぅ!?」


 なぜに異世界にそのゲームが!?……ってこれは別に転生者とか関係なくありそうだな。まぁそこはどうでもいい、あるならそれはそれ!

 なんでそんなゲームの大会があるのか――それも裏の大会とは。


「それも! ただの叩いてかぶってジャンケンポン大会じゃぁないのにゃ!!」

「ま、まさか真剣と本物の兜を使っての血みどろなヤツだったりするのか……?」

「は? ちげーにゃ。んな死にそうな大会、誰が出るかにゃ! こえーな!」


 なんだ違うのかよ。まぁ私もミーシャを殺したくなかったからいいけど。

 こほん、と咳をするミーシャ。


「改めて! ただの叩いてかぶってジャンケンポン大会じゃぁないのにゃ!!」

「ほう、それはつまり……」

「脱衣! 脱衣叩いてかぶってジャンケンポンなのにゃぁああああ!!!」


 マジかよミーシャ。天才だなお前。親友になろうぜ。


「ククク、実力では多分勝てねぇけど、ジャンケンなら! そして、速度勝負なら! 私に勝機があるはずにゃあ!!」


 フフフ、靴下持ち込んで相手に履いてもらえれば靴下回収も捗るじゃねぇの……

 その大会、神器なんかよりよっぽど価値があるぜッ!!(SP的に)


 そっとディア君が手を上げる。


「……あの、やっぱりボク出なくてもいいですか?」

「えっ!? 私の事守るって言ってくれたのすごい嬉しかったのに……」

「……出ます……」


 ディア君、参戦決定! ミーシャ、頑張ろうな!!


「な、なぁ。さっきはついノリでおめーも参加するかとか言っちゃったけど、無理しなくていいにゃよ? 私はコイツと戦えればいいし……」

「が、頑張ります……ッ」

「おいぃい!! テメー、こんな可愛い子に無理させてんじゃねーにゃぁあ!!」


 ほんのり涙ぐむディア君を前に、ミーシャが吼えた。


「え、私悪いの? 今私とミーシャで手を組む流れだったよね!?」

「なんでにゃ!? お、おい嬢ちゃん。マジで無理しなくていいからにゃ? 負けたら脂ぎった豚獣人おっさんとかの視線に晒されるんにゃよ? いくら毛皮を丸めた柔らかい棒とはいえ、叩かれたらそこそこ痛いにゃ?」

「……大丈夫です……ッ」


 くっ、ディア君ってばなんて健気なんだ……! 頑張って欲しい! 是非!!


「っていうか、その程度の内容で裏大会なの?」

「まぁ、エロ的ににゃ?」

「あー、そういう」


 ちなみにファイトマネーは結構出るらしい。今お金に困ってないけどね!


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