いやほんと、私が悪かったよ


 大会でボロ儲け(神様からの報酬)した報酬で、のんびりと買い物をすることにした。


 尚、アーサー君も「自分も金貨欲しいっすぅ! 仲間外れは嫌っす!」とダダこねたので大金貨1枚くれてやった。それくらいのあぶく銭なので、折角なので買い物しようかなって。


 なおお供はディア君だ。ゴスロリ合わせの姉妹コーデである。

 アイシアは「デートのお邪魔したくないので!」とお留守番である。


 ……で、デートって。ちがうし。


「さて、アクセみよアクセ」

「欲しかったら五大老のみなさんに頼めば作ってくれますよ? カリーナお姉さんが店売りの装備付けてたら拗ねると思いますけど?」

「それはそれ! これはこれ!! 本場のケモ耳カチューシャ(旅行者向け)をディア君に付けたいなぁって!!」


 獣人の国であるテラリアルビーでは、旅行者の獣人なりきりセットもあったりするのだ。

 獣人差別主義者にとっては『獣に貶める仮装プレイ』というわりとハードな変態プレイの道具になるらしい。それはそれですごくエッチです。


 ディア君にそういう差別思想はないので単に可愛いケモ耳仮装だ。


「どこで売ってるのかなー」

「あの、なんかすごく視線を感じるんですが……」

「まぁディア君はテイマー大会優勝者だし、私も大会でやらかしてたからねぇ」


 しかもこの格好である。目立って仕方ないのである。

 しかもしかも美少女姉妹だ。え? 片方エルフだから姉妹ではないだろって? まぁそうだね。しかも可愛すぎて隣に並ぶのに気合い入れないとやってらんねぇんだよ。


「うーん、ディア君には犬耳と猫耳、どっちが似合うかなー」

「お姉さんも付けてくださいよ?……ドラ角とか」


 ドラ角……だと……!? そういうのもあるのか?……あるのか!? 


 と、土産物屋を探して歩いている私とディア君に向けて、ダダダダダと土煙を上げて近づいてくる獣人が一人。


「てっめー!! みつけたにゃぁああああ!!」

「おっ、ミーシャ。元気そうでなによりだね」


 ミーシャ。私が大会にてお尻ぺんぺんしたり煽ったりして靴下を回収した猫獣人。とってもからかい甲斐のある可愛いニャンコだ。

 そして襲撃しようもんなら奴隷にしていいとか神様に言われている。


「まってください、お姉さんはボクが守りますっ!」


 と、ディア君が私の前に立ってミーシャを睨む。

 ミーシャはその手前でずざざざっと止まった。


「お!? なんだこのガキンチョお? そいつを守ろうっての?……可愛いじゃねぇか。超可愛い……お、おめぇ、なんだその可愛さ……え、可愛い……可愛いしか言葉が出にゃぁ……!」

「でしょ!? でしょぉ!? 可愛いは正義だよねっ」

「え、あ、あの……? ええっと。お姉さん?」


 ディア君はやっぱり可愛いよね!

 ミーシャ! おまえとは仲良くなれそうだ!!


「ってそうじゃねぇええ! おらぁカリーナ、これを受けとれぇ!!!」

「ん? なぁに? ラブレター?」


 びしっと投げつけられる手紙。広げると、果たし状だった。なーんだ、まとも。

 どうやら大会で戦いなおしたいらしい。


「その大会でリベンジにゃぁあああ!!」

「あれ? ミーシャの方が勝ったのにリベンジって必要なの?」

「分かってて言ってんだろぉおおお!? おめーのせいで私は『神を喜ばす尻』とか呼ばれてんだにゃああああ!!」

「『神を喜ばす尻』!?」


 な、なんてこった。神様は靴下の方が好きなのに……!?

 そこら辺を勘違いされて尻叩きを捧げられるようになったらそれはそれで神様に逆恨みされかねないな……


「なんかその、ごめん……いやほんと、私が悪かったよ……」

「……そう素直に謝られたらなんか許したくなるにゃぁ。で、でもだめにゃ! 許さないにゃ! というわけで、悪いと思ってるならその大会に出るにゃ。リベンジにゃぁ!!」


 ふぅむ。まぁいいけど。


「ついでにおめーも出るかにゃ?」

「……そうですね、ボクがお姉さんを守ります! ボクが先に勝ったら、諦めてください!」

「おーおー、良いぞ。そん時は諦めてやらぁ」

「ちょ、まってよディア君!」

「大丈夫です。五大老の皆さんの装備があれば……大丈夫です、多分……!」


 というわけで、私とディア君は、ミーシャの指定した大会に出ることになった。



―――――――――――――――――――――――

(新年から色々大変ですが、余震などにお気をつけて)

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