今更どうしようもないね
そんなわけで私がやらかしてしまっていたことに気付いたわけだが……
うん。アイシアの言う通り、確かに今更どうしようもないね!
王様を倒した事実は変えられないし、負けたら金貨82枚がパァだもの。私は勝ち進むしかない……ッ!!
「ここでメノウェ選手がギブアップ! カリーナ選手の快進撃が止まらなぁいッ!!」
「くっ! 我が魔槍プロチューブが服にかすりもしないとは!!」
「不可視の槍による刺突攻撃。ま、私じゃなかったら通用したかもね」
あとこの服、
ただしこう、さすがに瞬殺していくと悪いかなってことで、多少魅せプレイを意識して戦うことにした。
せめて大会を盛り上げてあげなきゃ……ってね。
え? そんな風にしてたら初戦で瞬殺された王様の立つ瀬がない?
いやいや、そっちはあれだよ。手加減する余裕が無かっただけで、強敵だったんだよ。初手でやられる前に決めるしかなかったヤツ。
と、次はエルフの弓使いだ。
……普通に弓矢って当たったら大怪我必至では? と思ったが、ポーションで治るので頭に受けなければ大丈夫らしい。
さぁいざ試合開始ッ!
「む? 森の気配……お主、エルフと付き合いがあるのか?」
「うん、あるよ。パーティーメンバーだね」
「ほう……ヒト族と馴れ合うエルフか。タカが知れるな」
「あ? 本気出して欲しいならそう言えよテメー」
「フッ、やれるものならやってみるが――」
「審判ー。これ武器破壊ってアリなんだっけぇ?」
その瞬間、私の手の中にはなぜかエルフ野郎の持っていたはずの弓が! ああ、試合で不可抗力とかならアリと。
「な!? い、いつの間に!? 返せッ!!」
「いやぁ、これは試合で仕方なくだよねぇ! 返したらやられちゃうもん! ってわけだぞオラァ! バキバキの刑じゃぁーーーい!!」
「我が愛弓リベリオンがぁーーーーーーー!?」
フッ、弓をベキバキにへし折ってやったわ。うちのディア君をよく知りもしないでバカにするから天罰だぜ。
武器破壊をしただけなので、本人がやる気ならまだ続行できる。が、もちろん弓使いが弓を持たずにまともな戦いになるかというと……なるわけないよねぇ!!
「予備の弓を持っていない方が悪い!」
「わ、我が弓は常に我と共にあったのだ、盗まれるなど有り得んッ」
「え? 今、フツーに私に奪われてたじゃん。完・全・論・破!」
ということで、エルフにも無事に勝利しましたっと。
「……次はガロウ将軍かぁ」
そうこうして、次はいよいよ黒狼族のガロウ将軍――マシロさんが気をつけろと言っていた相手だ。ステージ上で対峙すると、確かに黒いモフモフだった。
これはこれでいい毛並みだ。マシロさんの方が上だけど。
しかももうね。国王の
下手すれば事故に見せかけて……とかありかねない。
まぁされないけどね。私の空間魔法の防御力は最強だから!!
「バルバロス王を退けたその力、最初から油断はしない」
「しても良いのに、真面目だねぇ」
「ほざけ」
と、軽く会話を交わしたところで審判の合図。れでぃー、ふぁいっ!
「シッ!!」
「おっと」
私はダーツを避けた。初手から飛び道具か。しかもこれ避けることを想定されているようで、そこにガロウ将軍が待ち構えるように剣を突いてくる。
これを避け、刃をつまんで引っ張ろうとすればガロウ将軍はぱっと両手を放し私に蹴りを入れてきた。ふんぐっ!
「チィッ、硬いな」
「まぁね、っと!」
こちらも飛び道具で応戦だ。
バグバグン!! と私の二丁拳銃が火を噴いた。それを見切って避けるガロウ将軍。むしろ逆に撃った直後の隙を狙って切りつけてくる。
「2発同時だろうと、当たらんわッ! 食らえ――」
「――跳弾、って知ってる?」
次の瞬間、ガロウ将軍のふくらはぎを、後ろから弾が抉り抜いた。
「ぬぐウッ!? ま、まさか、弾の跳ねを調整した、と!?」
「安心しな。命は取るつもりないよ」
答えは言わないスタイルだが、もちろん空間魔法で軌道を変えただけだ。
魔法を使ったけどある意味跳弾なわけで、嘘はついてないぞっ!
――――――――――――――――――――――――――――――
(以下お知らせ)
皆様の応援のおかげで、2巻、出してくれそうです!!
私、Ixy先生にディア君描いてもらうんだ……!!
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