明日は大会に参加してみるとしよう


 かくして私にも可愛い衣装が作られた。


 正直、可愛い私を着飾るのは悪い気がしない。

 むしろゲームの美少女アバターをリアルで着飾る形で楽しいまである。

 それもこれも、着替えが空間魔法で一瞬で終わるから、と言うのもあるだろうね。


 おー、赤いドレスもいいなぁ。胸開いてて色っぽい!

 こっちの白いワンピースは清楚感あるよ。

 体操服……え? こんなのもあるんだこの世界……絶対転生者の仕業だ。


「にしても、急に言ったのになんでこんなに衣装があるのさ?」

「え? 好きな人を素敵に装いたい、そう思うのは普通でしょ?」

「そうそう。あちきはカリちゃんの可愛い姿が見たいだけさね」

「けど、この衣装は軽いエンチャントしかしてないから……ほぼただの服だよぅー」

「カリちゃんの魔法があれば余計なエンチャはいらないからねー」

「技術の敗北……ッ! 私達にはカリちゃんをカッコよくしたり可愛くするしかできない……」


 それでもMP回復補助、みたいな簡単(ただし五大老基準)なものは付いている。

 私の魔力量からしたら微々たる量だけども……


「燕尾服もあるよぉ」

「お、ありがとルーちゃん」


 と、ルーちゃんがまた新たなマネキンを持ってきた。

 ホントいつの間に作ってたのこんなに。


「とはいえ、本番で私が着れるのは1着だけなんだよね……悩ましい!」

「やっぱり戦えそうなヤツがいいかな?」

「あちきは今日の夜にこの下着を着てほしいかなって。あ、下着のみ、ね?」

「ちょ、シバラ! そんな防御力0な穴下着を!?」

「攻撃力は高いねぇ。ねやならいいけど、大会に出たらただの痴女だよぅ」

「男っぽい服もいいなぁ……ドワーフにいないタイプの美男子ぃ」


 着替え放題だねぇ。……わー、下着なのこれ? もはやフリルのリボンだよ。私を食べてってか?


「まぁそれは今夜付けるとして。大会に出る衣装は……ディア君とおそろいのゴスロリドレスにしよっかな」


 パチン、と指を鳴らして白いゴスロリドレスを身に纏う。ディア君が銀髪黒ゴシックなので、黒髪白ゴシックは対比的にもアリだろう。

 スカートにガッと手を入れてふともものホルスターから両手に拳銃を構える。

 弾は入れていない。


「背中側の腰にホルスター付けられるようにしようか。その方が出しやすいよ」

「後ろに手を回して、ジャキッってかんじ? わーそれもカッコいい!」

「フフフ、さすがカリちゃん。ロマンが分かってるね!」

「ちくちく……はいできたー。付けてあげるねっ」


 アーちゃんが秒でホルスターを調整し、腰につけてくれた。うーん、神業。

 この速度で裁縫できるなら、これだけの衣装が出てくるのも納得だよねぇ。


 しかも取り出しやすい位置が一発でバッチリ。


「カリちゃんの身体データはわっちのカラダで覚えてるからねぇ。計測いらず?」

「おおー、さすがアーちゃん! 好きっ!」

「えへへ、わっちもだよぉ」


 デレっと笑顔のアーちゃん。


「あ、カリちゃん。あちきのナイフでぶっさすから魔法で防御してー?」

「ん? 強度テストか。はーい、どうぞっ」

「てーい!」


 両手を広げて迎えたところに、シーちゃんがナイフを構えて突撃してきた。

 いや、ナイフっていうよりドスっぽい。腰入ってる。

 突撃し慣れてるなぁ、と思いつつ、私はシーちゃんをおなかに受け止める。


 ナイフは当然1ミリも刺さらず、ドレスも傷付かない。


「やっぱりカリちゃんの魔法は反則だよぅ! あちきの切り裂きナイフが刃が立つ以前に当たらないんだもん!」

「あはは、ごめんねー? でも当てさせちゃったらドレスに穴あいちゃうからね」


 抱きしめてなでなで。うーん可愛い。


「シバラのナイフが通じないなら安心だねー。でもあたしの指輪はちゃんと付けとくんだよ?」

「わかってるよクーちゃん。身代わり指輪があれば万一に備えて安心できるからね!」


 心配してくれるクーちゃん。優しいなぁっ!



 さて、そんなわけで衣装も決まった。

 明日は大会に参加してみるとしよう……自分自身にマシロさんから預かったお金と、私自身の所持金も賭けて荒稼ぎしようかな!!




―――――――――――――――――

(あとごじ1巻――

 『あとはご自由にどうぞ! 〜チュートリアルで神様がラスボス倒しちゃったので、私は好き放題生きていく〜』

 ――本日発売してます!!)

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