獣王国、テラリアルビー
いざゆかん、テラリアルビー
アカハガネからのテッシン・テラリアルビー国境までの移動については、
そこまでの通行記録の改ざんもお手の物……いや、正式な記録だね。改ざんじゃないね。
「あ、これヒーラーの身分証明書ね。不思議な魔道具作るって言うならドワーフだと納得されがちで便利だから、ウチの息子の一人にしといた」
「……権力のパワーってすげー」
「このくらいならお手の物だよぅ」
ヒーラー、女王ミーちゃんの息子になっちゃったよ!
継承権とかないけどヒーラー王子だよ! 尚、父親不明はドワーフのサガなので不必要だし、ドワーフサイズじゃなくても父親の血だろうといえば問題なし。
やべぇ、権力は厄介だと思ってたけど味方だとこんなにも頼もしいのか。
公式な手続きで作られた公式なドワーフの身分証である!
しかもそれだけではない。
私とディア君の共同開発した車の魔道具。こいつにミーちゃん達五大老が手を付けてしまったのである。
「すごいよカリちゃん! 燃費問題が改善できれば、馬いらなくなるねぇコレ!」
「荷車を直接……この時点で馬ゴーレムより圧倒的に効率が良いのは確かだね」
「フレームを骨、外装は革張りにして軽量化しとく? ぶつかったときの衝撃緩和にもなる」
「搭乗者の保護なら身代わり人形に移す感じでいけない?」
「私は魔道具専門じゃないけど、回路用インクの調合は任せて……え? カリちゃんなにこの完璧なインク……自信なくす……」
そんなこんなで、ガチでちゃんと動く魔道具車が完成してしまった。
燃費はまだ悪いけど。
「凄いねぇディア君。私達の作った魔道車が劇的ビフォーアフターだよ」
「乗り心地が全然違いますね。まぁ、お姉さんが動かすときはもっと静かですが」
私が動かすときは3mm浮かせてるからね。
さらにさらに、それだけではなかった。
『姐さーん。見てくださいこれ!』
「お? なにそれオシャレなブーツと鎧だねぇ」
『五大老さんたちが作ってくれたんすよー!』
アーサーに新装備が追加された。五大老工房の作品、ドラゴンのブーツと鎧だ。(お値段:ドラゴンの鱗5枚)
ディア君の時に外で気軽に使えないレベルの物を作っていたが、こちらはその反省を踏まえてアーサーのサイズ変更に合わせてサイズが変わる程度の機能しか無いらしい。
だが少なくともこれで野良ドラゴンと間違われる心配はないだろう。
「……物理法則無視してるあたり、さすが五大老工房?」
『ちなみにこの鎧、鞍に変形するんで! 姐さんドラゴンライダーになれますよ!』
「おおー」
ドラゴンライダーとかちょっと心惹かれる。
別に鞍がなくても乗れるけど、あった方が見栄えはいいよね。
「ちなみに私じゃなくても、アイシアとかも乗せてくれるよね?」
『ディア君ちゃんはともかく、アイシアさんは実力が……あ、ハイ、乗せます……』
「やったぜアイシア。アイシアもドラゴンライダーになれるって!」
……え? アイシアはそれを歌にする側であって、自分が歌われる側になるのはちょっと微妙だって? そっかー。
まぁそんなわけでアーサー君も含めて乗り物が充実したのである。
身分と移動手段が揃えば、もう私達の移動を阻むものはないぜ!
いざゆかん、テラリアルビー!!
……まぁ元々誰にも阻まれてたわけではないけどな。
――――――――――――――――――
(あとごじ1巻、11月20日発売!
だけどストックが尽きてるのでまたのんびり更新になりますねぇ)
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