養われるだけのエルフじゃありません(ディア君視点)
カリーナお姉さんが体調不良とのこと。
一緒にご飯を食べれないほどで……
「お姉さん、大丈夫でしょうか?」
「ああ。全く問題無ぇし寝てれば絶対治るから気にすんな」
お姉さんを介抱したマシロさんがシチューを食べながらそう言いますが、やはり少し心配です。
ここは僕もお見舞いに行くべきでしょうか。
「お待ちくださいディア様。お見舞いは止めておいた方がいいかと」
「え、そんなに悪いんですか!?」
「……あー、その。寝てれば治りますが。命に別状はありませんが、ある意味。はい」
「アイシアの言う通りだ。アイツは頭がちょっと致命的かもな」
「頭の病気なんですか!? 重病なやつじゃないですか!?」
僕が思わず立ち上がると、アーサーがぽんっと肩を叩いてきました。
『いやディア君ちゃん。多分姐さんがちょっとバカなことして自業自得って意味っすよ』
すっかり単語帳を使うのに慣れて、もう話すのと変わらない程に使いこなしているアーサー。
不足してたら自分で書いて追加しているあたり、人語はマスターしている様子。
「え。あー。そういう……意味なんですか?」
「おう。アーサーの方が解ってんじゃねぇか。さすがドラゴン様だな」
『いやー、ディア君ちゃんが純粋すぎるだけっすよ。守護らねば……!!』
むむ、なんか子ども扱いされている気がしますね……?
「まぁ2、3日のんびりしてろよ。別に急ぐ旅してるわけでもねぇんだし」
「一応世界を救う使命のある旅なんですが……急いては事を仕損じる、ともいいますしね。お姉さんの体調が万全になるのを待つのは異論ありません」
まぁそれはそれとして、お見舞いはしておきましょう。
命に別状がないのなら良いですよね?
* * *
お姉さんのお見舞いとなると、アカハガネの町で美味しそうなものを見つけて差し入れるのがいいでしょうか。面白そうな魔道具でもいいかもしれません。
スライムをテイムしたわけですし、その関係でもいいですね。
あ、そうだ! 一足先に神器の情報を集めてくるのはどうでしょうか!
アイシアさんはお姉さんの看病をするとのことなので、僕は僕で今のうちに情報収集しておくというのはいい手です、よね?
『あ、そんなら自分付き合うっすよディア君』
「良いんですか、アーサー?」
ドラゴンのアーサーが同行してくれるなら心強いところです。
『一人だけで外に出したとなったら姐さんに怒られるっすからね』
「あはは。僕だって子供じゃないんだから」
『子ども扱いされない方が困るっすよ? また告白されまくっていいんすか?』
そうでした。僕はドワーフからしたらすごい美女に見えるようで……アイシアさんの里で実証済みですし、宿をとるにあたっても、若干怪しい視線を向けられていましたっけ……
……それを考えると、外へは男の格好で行った方がいいですね。うん。
男である場合はヒゲのない子供扱いですが、ドワーフの男達に囲まれるよりマシです。
「じゃ、出かけますか」
『うっす!』
着替えを済ませ、僕は町へと出かけました。護身用の銃も装備しています。
拠点を出ると、宿の部屋。宿を出ると、そこはドワーフの町アカハガネ。
『迷子にならないように、しっかりマーキングするっすよ!』
と、アーサーは建物の角にぐりぐりと身体を擦り付けていました。
一瞬犬のようにおしっこ引っ掛けるかと思ったのは言わないでおきましょう。
「さて、情報といえば酒場ですが……」
『ドワーフの町っすからね。酒場、あるようでないっすね』
「普通の食堂が全部酒場みたいなものですからね」
そのあたりはアイシアさんの方が詳しく効率よく調べられるでしょう。
なにせ、アイシアさんはハーフドワーフの吟遊詩人。この国はホームといって差し支えません。
「魔道具屋でも探しましょうか」
『おっ、いいっすね。ついでに鱗を一枚でも売れば小遣いもできるっすよ、一枚分あげるっす』
「ありがとうアーサー。でも僕も一応お金は持ってますから」
お姉さんに売った魔道具代とかお手伝いのお駄賃とかで、それなりに貰ってますし。
……養われるだけのエルフじゃありませんからね、僕は!
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(以下お知らせ)
公式X(旧ツイッター)アカウントの方、キャラデザの情報とか出てましたね。
カリーナちゃんのラフが可愛い。
公式アカウントへのリンクは近況ノートから!
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