まずい、ムラムラする。


 ――

 ――――


 ふぅ、良いお風呂だった。(スラベェ感)


 そしてなんか一方的に覗いた罪悪感がパネェや。ごめんなディア君。

 ディア君のディア君は、結構なディア君でした。


 いやー、あれならぷにぷにして遊びたい可愛さだったよ。

 食べちゃいたいくらい、なんつって!


 ……



 ってダメじゃん! ディア君のディア君を受け入れてるじゃん私!


「私の魂が、女の子になっているというのか……ッ!? 馬鹿なッ!」


 先日現地妻が5人もできた立派な漢だというのに!

 心がメス堕ちしかけてるだとッ!?


 いやもうマシロさん相手だとそうかもだけどそれとこれとは別でぇッ!?



「お姉さーん、スラベェお風呂に入れてきましたよー」

「ひゃいっ!? あ、うん! ありがとうディア君!」


 私がベッドでブリッジするように悶えていると、ディア君が部屋の扉をノックしてきた。

 怪しまれないように急いで開けてスラベェを受け取る。


「あれ、顔が赤いですよ。どうかしましたか?」

「な、なんでもないよっ。ありがとね!」


 受け取ってすぐ、逃げるようにバタンと扉を閉めた。

 ……あー、ヤベ。ディア君の顔恥ずかしくて見れねぇ。風呂上がりのしっとりして頬に赤みが差してるディア君が可愛いのと全裸姿思い出しちゃって。まずい、ムラムラする。


「……」


 手にはぷるっぷるのスライム。さっきまでディア君と一緒にお風呂入ってたヤツ。

 なんていうか、つるんとしてて触り心地いいんだよねスライム。

 形状変化もできるんだよね。こう、にょきっと突起を生やしたり。それをイボイボにしてみたり。長さもいける。


 一応スキャンして変な病原菌とかないかを確認……大丈夫そうだな。ヨシ。

 ……ちょっとだけ。ちょっとだけな。




 ふぅ。

 なんていうか、感覚共有やべぇわ。

 スライムが自分の身体触る感触があって、なんというかこう二重に感じて。特にスライムだからか体温をすごく感じてヤバかった。


 いやー、汗とか体液で汚しちまったからまたお風呂で洗わないとなー。あ、スライムの体液ね。うん。

 次はアイシアに洗ってもらおっかなぁ。ふふふ。



 ってか、ふと思ったんだけど、スライムの体液ってローションに使えそうだよね。ヌルヌルヌメヌメしてるし。乾燥させたら粉になったりするかな?

 今度試してみようかな。スライムローション、試作品作ったらハルミカヅチお姉様に持って行ってみても良いかもしれない。


 スライムでローション作れたら、ソラシドーレの近場で獲れて便利だし! 褒められるかも! そんでまたお姉様に実演販売を……ぐへへ……

 でも、こんな簡単な発想誰もしなかったのかなぁ? 案外盲点だったとか?


 ……と、部屋の扉がノックされた。


「おーい、カリーナ。大丈夫か? ディア坊が心配してたぞ」

「んぁ? あ、マシロさん? ちょっとまって今開けるぅー」

「お、出てきたか。風邪でも引いたかって……」


 部屋の扉を開けると、マシロさんはホッとした表情をしていた。

 そしてクンと鼻を一回鳴らして、呆れ顔になった。


「あー、うん。新しいオモチャを手に入れて遊んでただけか。そっか。相変わらずでなによりだよ」

「え、いやうん。まぁそうなんだけども」


 さすがマシロさんだ。私の事分かってるというかなんというか。


「まぁスライムをテイムしたヤツにはたまにある事だからな……その、ほどほどにしとけよ」

「え、そんなよくある発想なの? コレ」

「あと使った後はしっかり洗わないとムズ痒くなって地獄を見るぞ。スライムの体液には殺菌作用ってのがあるらしいんだが、それが結構強すぎて、皮膚の薄いトコとかだと痒くなるんだとよ」


 獣に噛まれた箇所を殺菌するためにスライムを詰めたりもするらしいが、その後痛みを越えるほどの痒みで悶え苦しむケースまであるそうな。肉が腐り落ちて死ぬよりマシらしいけど、マジかよと。


「あ、なんかむず痒くなってきたかも……!?」

「言わんこっちゃねぇ。ほら、風呂場行くぞ、洗ってやる」


 その後私はマシロさんに全身しっかりきっちり洗ってもらい、それでも少しだけ痒くてしばらく悶える事になったのはここに記しておく。


 スライムがローションに使われない理由を知ったよ! うわーん!

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