ディア君ってば罪な女だわ……
「ふー、少しスッキリした」
「ま、まさか本当に在庫を撃ち尽くすとは……」
二丁拳銃で在庫の弾を撃ち尽くしてやった。しかも高速連射だ。
6発×2丁を1秒で撃ち尽くす手動マシンガン。
銃の方が持たなかったので途中メンテナンスもしてもらった。もちろん無料で。
銃の限界も分かったし、いい試射だったな!
「ただいまー」
「おかえりなさい、あるじ様」
「あ、お疲れ様ですお姉さん」
なにやら疲れた表情のアイシアとディア君。
試し撃ちしすぎて待たせちゃったな。
「で、どうしたの。なんかすごい疲れてるけど?」
「……お姉さんが試し撃ちしてる間、里を見させてもらったんですが」
「ディア様モテモテでして……」
なるほど。まぁディア君可愛いから仕方ないな。
手ぇ出して来たらブッとばすけど。
「ミスリル鉱石の髪飾りや、アーススパイダーシルクの織物とかを差し出してきて『俺と酒を飲まないか』って……」
「かなり本気っぽい求婚でしたよ。いずれもかなり手の込んだ逸品でした」
ドワーフ的には自分の作った渾身の作品を差し出してプロポーズするのが一般的。
ディア君ってば罪な女だわ……男の娘だけど。
「……で、受けたりしてないよね?」
「お姉さんは僕を何だと思ってるんですか!? 断りましたよ!!」
とっても可愛いエルフの男の娘だと思ってるよ。うん。
「……この村にいる間、アーサー君連れてた方がいいかもね。ドラゴンが一緒ならさすがに悪い虫も寄ってこないでしょ」
『自分っすか? 別にいいっすけど』
「すみません、お願いします」
髭面の男たちに秋波を送られるのはさすがに堪えたのだろう。ディア君は素直にうなずいた。
「女性の方から話を広げておくのもいいかもしれませんね」
「井戸端会議的な? それは効果的っぽい気がする、良く分からんけど今度はドワーフの女からディア君が狙われたりしない?」
「女ドワーフから見れば『髭も生えてない子供』ですから大丈夫ですよ」
なるほど。ついでに靴下でも調達できないかな、と私はアイシアとドワーフ女たちのたまり場に向かうことにした。
* * *
女性のたまり場。そこは炊事場だった。
人間から見たら子供サイズのドワーフキッチンで、ドワーフの女性たちがわちゃわちゃと夕ご飯を作っていた。
一見するとまるで小学校の調理実習である!
「んん、すごいロリロリしい……! でもよく見ると包丁使いやべー!」
千切りとか一瞬だよ一瞬! スライサーじゃない、包丁だよ!?
ってかなにあの飾り切り、雑談しながら七夕の短冊みたいなの作ってる……熟練の料理人だぁ!
「ドワーフですからね。人間に比べたらみんな手先は器用ですよ」
「空間魔法使わなきゃ真似できそうにないなぁ……うわすげー」
芋の皮が幾何学模様になってる……あ、しかもさらに普通に剥いた。ただの暇つぶしの手遊びだったのかよ。
ちなみに、村のご飯はここでまとめて作られているんだとか。
こういうのも、村がひとつの家という判断になる要因かもしれない。
「あれぇ? アイシアちゃん。久しぶりに見たねぇ。生きてたのかい」
「あ。うん。久しぶりおばあちゃん。今こちらのあるじ様の奴隷として幸せにやってるよ。父ちゃんから聞いてない?」
「あー、そういや今日はお祝いの宴だって言ってたねぇ。それかなぁ」
赤髪褐色、よく見たら目元に小じわがあるドワーフさん。
……おばあちゃんで小じわ程度なのか、ほんっと若く見えるなぁ。
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