国ぐるみでやってんのかドワーフ
さて。そんなこんなでカルカッサで一通りやることもやった訳だけど――私たちは次の目的地に向かうことにした。
正確には、既に旅立っている。
『ヒーラー』はダンジョンの奥でコアの護衛をしてたけど、『カリーナ・ショーニン御一行』は町を出て次の目的地に向かっていることになっているのだ。
そして、次の目的地はドワーフの国――アイシアやサティたんの故郷である。
きっかけは、アイシアの思い出話だった。
~・~・~・~・~
「そういえばあるじ様。ウチの故郷にとんでもなくおかしい武器があるんですよ」
「へぇー? どんな?」
「城壁を破壊できる槌です。ただし城壁以外には効果が無くて、ご近所の家の塀とかは一切傷がつかない代物なんです」
「なにそれオカシイ」
~・~・~・~・~
……そんなおかしな代物なんて、間違いなく神器である!
しかもダンジョンと違って生活の役に立たない、城壁破壊特化の武器とか。
こんなの回収しろって言ってるようなもんじゃん。するよ、しに行くよ。
そんな軽いノリで、ドワーフの国行きが決定した。
他に優先的にするべきこともないしね。丁度いい指針だよ。……え、靴下? それはほら、現地での出会いを大切にするやつだから。神様もきっとそういうの求めてる。
折角ドワーフの国に行くのでアイシアの実家に生存報告もしとこうかな、という話にもなった。
サティたんはきっとそういう事しないだろうし、とはアイシアの言である。
……私もそう思います。今頃は絶対エルフのお酒のことで頭一杯だよ。
「というわけで距離的にそろそろ国境に着いておかしくない日数になったから行こうと思うんだけど、なんか気をつけなきゃいけない事とかある?」
「そうですね、お酒がいっぱいあったほうが喜ばれます」
アイシアがそう答える。……もうちょいお酒買っとけば良かったかなぁ。
カリーナ・ショーニンとして仕入れたクローラー酒は、サティたんに買わされた分しかないわ。
「ん? 酒が足りねぇならアタシが買って来てやろうか? 自分用のついでに」
「あ、いいの? じゃあそのうち頼もうかな、酒代と手間賃は払うから」
「別に酒代だけで構わねぇよ。カリーナにゃ世話になってるしな」
毎日お風呂入ってるもんなぁマシロさん。お湯の張替えが日課になる程度には。
ちなみに大々的に商取引するのは免許がなきゃダメだけど、個人消費用のお酒をちょっと多めに買って仲間内で清算する程度は全然アリなのだ。
売る時も個人相手に1、2本程度を出すのはOKである。完全に横流しだけど。
「あ、大丈夫ですよ。私の居た国では、ドワーフがお酒を売り買いするのに免許はいらないんです」
「え? そうなの?」
「正確には、商人に対して『これはお酒ではない、味のついた水だ』と言い張ることで、『お酒の取引では無い』と主張しています」
「んなバカな」
麦ジュースとかお米ジュースとかそういう隠語を国ぐるみでやってんのかドワーフ。
「『それは水じゃないだろ!』言われたら、水だと証明するために
「……法律ガバいな?」
「もちろん国外では通用しないので、国境付近ではよく罰せられてお酒を没収されるドワーフが年に数人いるとか」
でもドワーフの国ではわりとそれで通じてしまうらしい。
ガバいなぁー。
「サティもこれで昔1回捕まったと言ってました」
「サティたんさぁ……」
思わず呆れてしまった。
が、そこから酒商人に弟子入りからの免許取得、師匠から酒カバンを譲られるまでに成長したそうだけど。
「まぁ流石に火酒とかの『ドワーフでも水のようには飲み干せない』ものはお酒として扱うしかないわけですが、それ以外は大体ジュース扱いです。ゆるゆるです」
「火酒、そういうのもあるのか」
「カリーナ、アタシも火酒飲んでみたい。手に入れたら一本売ってくれよ」
「いいよー、原価で売ってあげる」
尚、飯屋とかでもジュースと思ったら酒ということがちょいちょいあるようなので、ディア君には気を付けてほしい所存。
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(すまん、まだ書籍化作業終わってないんだ。不定期ですまん。
あとスト6のほうはあと少しで一通り師匠との絆100の20段になりそうなんだ。すまん)
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