ダンジョンの町、カルカッサ

カルカッサ到着!!



 あっぶねー!

 壺が割れてないのはおかしいんじゃないか、というツッコミをカリーナちゃんの機転で切り抜け、なんとかカルカッサへとたどり着いた。

 ありがとうヒーラー氏! なんもかんもヒーラー氏のおかげだよ!


 そうそう、魔道エンジン車『スター君2号』はヒーラー氏の不思議な魔法の力で小さくなれる設定になりました。まじヒーラー氏便利。

 で、そのためのそれっぽい魔法陣もディア君に開発してもらったけど、こちらは本当には動かない正真正銘の飾り。実際は模型と入れ替えてるだけ。


 流石に不思議現象を発生させるには知識が不足しているらしい。新しい教本が欲しいねぇ。


「カリーナお姉さんがヒーラーを褒めるのは自画自賛ってことになるんでしょうか?」

「あるじ様が最高ってことには変わりないので良いのでは?」



 ともあれカルカッサ到着!!


 カルカッサは荒野にぽつんとある町だ。壁が二重にあり、内側の壁の中にはダンジョンがある。住居や商店がある場所はドーナツのような町だ。

 土魔法のレンガや石で作られた家が並び、畑もまぁないわけではないが、野菜類は他の町からの輸入が基本。食事はダンジョンで取れる魔物肉等がメインのようだ。


 さーて、とりあえず宿でも取ろうかな。

 ……ん? そういえば私まだこの世界で宿をとったことが……ないぞ??

 この世界にきてもう1ヶ月以上経つのに……!?

 それもこれも空間魔法が便利すぎるからです本当にありがとうございます。


 宿の取り方もしらない私は、経験豊富であろうアイシアに丸投げすることにした。


「アイシア、いい具合に個室の宿って取れるかな? 予算いくら位かかるかなぁ」

「銀貨1枚もあれば。あ、あるじ様は部屋を分けたほうが良いでしょうか?」

「いや、同じ部屋で大丈夫だよ。どうせ収納空間があるし、そこに続く扉を置いておくだけだからね。一人部屋でもいいくらい」

「あ。そっか。あるじ様の魔法って便利ですね!」


 でしょー? 空間魔法最強に便利なのよ!


「じゃあ私は床で寝て、あるじ様とディア様で一つのベッドという体裁ていで一人部屋をとりますね」

「あ、ご飯はここの名物とか食べてみたいから、そういうのがあればいいんだけど」

「カルカッサの名物ですか……昔来た時と変わらなければ、大したものはないですね。クロウラー焼きとかが名物といえば名物ですけど……」


 クロウラー。基本的知識さんにヒット1件。……ダンジョンに出てくる大きな芋虫じゃないか。食えんの? え、食うの? 食べれちゃうのかぁ……


「……どんな感じなの?」

「食べれなくはないですが、珍味です。干したものはクラーケンの切り身に似ています。味は、うーん、塩味のないチーズという感じでしょうか。処理が甘いものは毒が残っていてピリッとすることがあります。腹痛を起こすような毒ではないですが、痺れます」


 痺れるのがいい、とわざと毒を残す人もいるんだとか。

 うーん、怖いもの見たさで一口だけ、で十分そうだねぇ。


「私はオーク肉の方が食べたいです、あるじ様」

「正直でよろしい。オークステーキは別途用意してあげるよ。じゃ、私は商人ギルドへ蜂蜜卸すのに良い場所聞いて売りさばいてくるから、ディア君とアイシアで宿を探しといてもらえるかな」

「分かりました、安全を優先して探しますねお姉さん」

「そうですね、私たち、パッと見て女の子しかいませんし」


 一応今日のディア君、男の子の格好の日なんだけどなぁ。うん。ポニテの女の子が男装してるようにしか見えない。


「二人の場所は私が把握しておくから、何かあったら呼んでね。すぐ駆けつけるよ!」

「はい。お姉さんもお気をつけて」

「ではあるじ様、また後程」


 あ、そういえば冒険者ギルドへ荷運び依頼のお届けもあるんだった。

 ついでに届けて依頼達成もしておこっと。


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