なんかすごそうな情報


 私カリーナちゃん。迷える子羊!

 カルカッサへの移動中、ということになっている休日に、ぶらりとソラシドーレの教会へとやってきたの。

 ここならきっと私のお悩みを解決してくれるに違いないわ!


 というわけで、ピンクのサキュバスシスター、シエスタがいつも通りシスター業に励んでいるところに突撃質問コーナーです。


「ねーねーシエスタ。男の娘が女の子の姿に慣れてきちゃってて恥じらいが薄いの。どうしたらいいかな」

「慣れたという記憶を魔法で消したらいいんじゃないですか?」


 サキュバスってそんな魔法使えるの???


「まぁうっかりすると記憶全部消えて廃人になりますが」

「うーん、危険魔法」

「冗談ですよ、冗談」


 ニコリと笑うシエスタ。冗談を交わせる間柄になってたかぁ、嬉しいなぁ。


「もっと穏当にさ、こう、恥ずかしがらせ続けたい。神様に捧げる靴下のために?」

「なるほど。であればこの世界で神様に靴下を捧げ続けた先達である私の研究成果を一部提供しましょう」


 おお、なんかすごそうな情報だぞ!


「ニンゲンは慣れる生き物です。なので、普段からそういう格好をさせるより、たまにさせた方が羞恥は強くなります」

「……なるほど。それ、もう慣れちゃってた場合は?」

「世の中には、裸よりも恥ずかしい格好というものが存在するのですよ。御同輩」


 なん……だと?


「まだたかが女装程度なのでしょう? では、もう一段上の羞恥を煽る格好をさせれば宜しい」

「もう一段上の羞恥をあおる格好!?」


 おいおいシエスタ先生パねぇな。


「間隔としては週一、いや、ひと月に1回……いや、神様に納品する前日だけくらいでもいいでしょう。その方が特別感があり慣れは薄いです」

「なるほど……勉強になります」

「まぁ肉体的に辱める手を併用すれば完璧ですよ。手伝って差し上げましょうか?」

「やべぇディア君が食われる。もちろん性的な意味で」


 ディア君はうちのだから! とっちゃだめだから!


「ああ、それとあとは逆方向。普段に普通の格好をさせるのも良いですよ」

「普通の格好を……つまり男の娘に男の子の格好をさせると」


 言葉にすると音で判別付かないが、そのニュアンスの違いをシエスタはしっかり把握してニコリと肯定した。


「落差が大きいほど、羞恥は増えるんですよ御同輩」

「私としては普段は女の子の格好しててほしいんだけど……可愛いし」

「……一週間の半分は男の子の格好をさせ、女の子の格好をさせるときだけスキンシップで愛でる、というのもアリですよ」


 ほう。

 ……アリかもしらんな?


「けど御同輩。そもそもが男の娘にするのが目的だったのであれば、女の子の服を着ることに羞恥心がなくなるのは狙い通りなのではないですか?」

「あれ? 言われてみればその通りだね?」

「目先の羞恥心に気を取られていたようですね。男の子には男の子の、男の娘には男の娘の辱めがあるのです」

「そうだった……目からうろこだよシエスタ!」


 とはいえ、現状だとただ女の子の格好をするのに慣れた男の子というだけになってしまうので、一週間半々対策は取るべきだろう。


「なんにせよ、慣れによる羞恥心の摩耗は我々の大敵です」

「くっ、神様にもらった空間魔法でも勝てない難敵……っ! 私がんばるね!」

「ええ、ご武運を」


 しかしいつになくシエスタが優しい気がする。


「なに、私も神様から御同輩の活躍を聞きましてね。研究を取り入れたのです」

「ふむ? というと?」

「今まで靴下生産の時には淫夢で辱めるのが基本だったのですが、あえて『大の大人に可愛らしい少女の服を着せ通りを歩かせる夢』を試したところ、神様から大変好評でした。たとえるならショウガノテンプラだとか」


 夢の中でも脱ごうとする程だったので、脱げない呪いがかかってる設定にしたとか。

 うーん、確かにごつい男や熟年の女性が、意に反して突然ゴスロリファッションで街中を歩かされたら、そりゃ羞恥心も煽られるだろうなぁ。


「ふふ、先ほどの研究成果は御同輩のおかげで進んだんですよ。敢えて着せることで辱める。素晴らしい発想です。おかげで先日のご褒美では異世界スイーツをたくさん食べることができまして」

「あー、だから私に優しく上機嫌だったわけか」

「はい。今後も神様のために共に頑張りましょうね、御同輩」


 熱心な神の使徒、シエスタであった。

 さーて、男の子の服を手に入れないとなー……クミンさんから預かってる荷物の中に男の子の服もあったっけか。代金払うから使っていいかの手紙書いてみよっと。


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