ダミーナ・ニセイシャ(仮)
私カリーナちゃん! お買い得情報を手に奴隷商へやってきたの!
私たちの仲間にふさわしい、お買い得奴隷さんは居るかしら?
靴下が似合う女の子なら言うことなしよ!!
「見目の良い女性や、技能がある者はやはりお高くなりますので……金貨1枚ですと」
まぁ当然だ。
さすがにこの数在庫がいても選りすぐりの器量よしは即娼館行きだろう。冒険者の先輩達に話が聞こえている時点で、もうそっちのプロが漁った後に違いない。
それでもこの入荷数、プロでも拾いきれなかった掘り出し物があるはずだ。
「無教育のでも無理かな?」
「買取価格を割ってしまいますれば、損になってしまいます。ご容赦を。未教育の村娘でも金貨3枚にはなりますし、可愛い女の子、となりますと……ああ、赤子でも良いですかな?」
「赤ちゃんは完全に対象外なんだよなぁ」
というか赤子でも買いとるのか。最後のセーフティーネット伊達じゃねぇな。
うーん、まぁ無理に値切ろうってわけじゃない。金貨3枚なら予算内ともいえる。
けどあっさりと予算上限を吐けばきっちり搾り取られるのみ。もう少し探ってみよう。
「多少傷アリでもいいよ。いい感じに安いのないかなぁ」
「ああ、治療前提でよろしければ多少は在庫がございます。ただ、治療費を含めたら最初からまともな奴隷を買う方がお得ということが多々ありますな」
「傷の具合によっては安く治せる伝手があるんで、応相談で」
「それは羨ましい。その伝手を紹介していただければ、更に値引きも対応できるかもしれません」
ほほう、そういうのもあるのか。
カリーナ・ダイマホーツカイを紹介しちゃおうかなぁ……いやまてよ?
奴隷、靴下を採るかいやらしい事するしか考えてなかったけど……こういうのはどうだろうか?
~・~・~・~・~・~・~・~
「我が名はダミーナ・ニセイシャ(仮)。さぁ、あなたの娘の傷を癒しましょう。治療費は金貨5枚と娘さんの靴下です」
「そ、そんな法外な! しかも靴下とは!? しかし娘のためなら……わかりました、払います!」
「その言葉が聞きたかった! あ、通りすがりの商人さん。治療の儀式に必要な道具を売ってください。領収書の宛名はダミーナ・ニセイシャ(仮)で」
「はーい、まいど!(こっそり治療するカリーナちゃん)」
「では儀式を行います……えいえい、むんっ!(もう治ってるので治すフリ)……ふう。では金貨と靴下はいただいていきますね。以上、ダミーナ・ニセイシャ(仮)でした」
「くっ、確かに娘は助かった。が、しかしやっぱり金貨5枚は法外だ。おのれダミーナ! しかも娘の靴下を持っていくとはなんという変態だ。おのれおのれダミーナ!」
~・~・~・~・~・~・~・~
と、そんな風に、私の身代わりで悪名を引き受ける係だ。
うん、悪くない。悪くないぞ。
有名人になってしまったら、自由気ままに屋台巡りとかができなくなってしまうかもしれない。靴下集めをライフワークとする変態となれば猶更に。
そこで! これから買う奴隷ちゃんを身代わりにたてるのだ!
唐突な思い付きだけど、これは名案だ。
私が仮面付けてもマリア婆にバレバレだったけど、そもそも別人ならバレなかったはずだし!
ここで奴隷商に治療先の伝手ということで紹介すれば、仕事のくいっぱぐれなさそうな気配だし!!
あとディア君に「なんで奴隷を買うんですか?」と説明を求められたときにそれっぽい言い訳になるし!!!
ごほん。
「今すぐ紹介するのは難しいから、後日紹介したら一部返金って感じで値引きしてくんないかな?」
「良いですよ。返金額はどのくらい有用な伝手かにもよりますが」
「よし、交渉成立。じゃ、実際に奴隷を見せてもらおうかな。あ、腕が欠損してるくらいなら大丈夫だから。できれば片腕がいいけど、なんなら両腕もげててもいいよ」
「は?……そ、そうですか」
足が欠損してると、私が治しても靴下が採れなくなっちゃうからね。
「……であれば、丁度いいのが一人おりますな。両腕と美貌と声を失った、元吟遊詩人です。お値段は金貨1枚で結構。本当に治せますかな?」
おっとぉ、すげぇおあつらえ向きなの来たな。
なにこれ、神様がその子の靴下欲してるの?
わーったよ、治せばいいんでしょ。任せろやい。
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