私は奴隷商へとやってきた
ついでに難民がやってきた影響で、ようやく錬金王国が滅んだ情報が一般にも広まっているらしい。
「うう。錬金王国、行ってみたかったんですが……まさか滅んだなんて」
最近錬金術を始めてハマったディア君は、錬金術の
……今から行って滅んだ町を見たところで、何の意味もないよなぁ。
そしてごめんな、滅ぼしたのウチの神様やねん。
錬金王国の
まぁ神様が錬金王国を滅ぼそうとしなければ私もここにいなかったわけだし、相殺ってことでいいよね?
というわけで先輩達と別れて翌日。私は奴隷商へとやってきた。
やっぱ異世界転生といえば奴隷は外せないよなぁ……!
なんかめっちゃ人いる。……これほぼ商品の奴隷さんだって。あんまりにも多いから入りきらず、服も売られたときのままでフツーの一般人っぽい。難民だったから多少薄汚れてるくらいか。
と、ここで久々の基本的知識さんによる解説だ。
奴隷商は犯罪者ですら買い取る最後のセーフティーネット。口減らしに捨てられるような者も買い取ることで治安の維持に貢献しており、基本的に買取拒否するようなことはない。行政とも結びついているらしい。
……そういやヴェーラルドの奴隷商も領主の子飼いだったもんな。うん。
そんなわけで錬金王国の難民が売り出すままに買い取った結果がこの溢れる人混みということなのだろう。今後彼らは他の町へと出荷されていくに違いない。
さて、そんじゃ念願の奴隷商でのお買い物です。
「すみませーん」
「はいはい、買取? 下取り? それとも購入ですかね?」
「購入を検討してる感じです」
私がそういうと、奴隷商はぱぁっと顔を明るくした。
「ようこそ! 歓迎いたしますお客様。ご覧の通り在庫は溢れているほどなので購入していただけるならホント大歓迎ですよ。……あー、ただ、教育を施し切れていないので実際に売り物になる奴隷は少ないのです。が! お客様の方で教育なさるのであればお安くなります!」
「ちなみにその、おいくら位で?」
「通常、教育済み奴隷であれば金貨1枚から十数枚のところ、入荷したての未教育奴隷であればそこから大銀貨5枚を引きいたします! おススメですよ。いやホント切実に」
おお、となると最低値は銀貨50枚。カリーナ・ショーニンとしての手持ちでも手が届きそうな程だ。まぁ、商売の元手が消えちゃうからディア君から借金することは変わらないんだけど。
「覚悟してたより安そうですね」
「そりゃ奴隷の面倒を見るだけで金がかかりまして、その分が奴隷の値段に加算されますからね。入荷仕立てで未教育な奴隷が安いのは当然ですよ。……つまり、今だけのお買い得価格というわけです」
どちらかというと負債になる前に未教育の奴隷を引き取ってほしいというのが奴隷商側の本音だろうか。多少でも利益が出れば万々歳、みたいな。
「とはいえ、教育されていない奴隷が何か悪さしても主人の責任になるんですよね? 中にはそれで主人を陥れ、再度買われるのを待つ奴隷もいるとか聞いたんですが」
「ハハハ、それは伝説級に希少な例ですよ。普通なら不良在庫で処分です。あるいは奴隷商とグルだったかでしょう」
前の奴隷商はともかく、今はそんなことないので安心を。と奴隷商はにこっと笑った。
先輩め、さては私を脅したな? まぁ、あれくらい強く言ってくれた方が注意深くもなるから助かるんだけど。
最悪奴隷を収納空間から出さなければいいか。問題ない、多分。うん。
「それで、どのような奴隷をお求めでしょうか?」
「うーん。まずそんなに高くなくて、可愛い女の子で、ついでに何か技能のある掘り出し物でもないかなぁって。金貨1枚くらい?」
「……流石に難しい注文ですねぇ」
ですよねー、でも無いわけじゃないんだろうか? 流石にこれだけ居るし。
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