知ってた。
「で、ゴメ船長さんが私に何の用だって? またお酒を御馳走してくれるっての?」
「ゴメスだっての! 今度は削りすぎだ!」
こちとらゴーレムとかいう凄く興味深いオモチャを見つけたところだったんだぞ。
……いやまて? あのゴーレム、そのゴメスの商会のゴーレムっぽいぞ?
ってことはだ。
「次はあのゴーレムを賭けて勝負ってコト!? ひゅう! 早く行こうぜお前ら! 飲み比べなら勝確だし、神様に感謝を捧げちゃう!」
「ええ? いや、そんな……詳しくは知らないが」
「こ、こっちだ。ついてこい!」
動揺しつつも私を案内する海賊の下っ端たち。行先はどうやら倉庫のようだ。
「入れ」
「おうよ」
入れと言われたので堂々と入ると、いきなりガツンと木材を叩きつけられた。もちろん私はこんなこともあろうかと空間魔法で
いや、さすがに本気でこんな露骨な誘いに無防備な状態で乗るほどバカじゃないよ?
折れた木材を手に呆気に取られている男。他にも、十数名が倉庫の中に控えていた。
船長帽を被ったゴメスは居ないようだ。
「おんや? これはどういう歓迎かなぁ? こんなことしちゃぁ神様も黙っちゃいないと思うんだけどなぁ」
「てめっ……か、かかれぇ!」
神様、ご照覧あれ――ま、一方的すぎてそれほど面白い事にはならないと思うけど。一応ね。
「ったく、私に絡むなって言ったのになぁ」
私が殴ったり蹴ったりするのに合わせて手下どもをぐぉんっと飛ばして壁に当て、そのまま体を固定。自由を奪う。
「なっ、何モンだテメェ!?」
「君たちの哀れな被害者でーす。きゃーこわーい。こんなところにか弱い乙女を連れ込んで何するつもりよー? えっちー、すけべー、お前の股間ハーフレイピアー」
言いながら男をまた一人蹴り飛ばしてやった。天井にぶつかり、突き刺さる。おっと大丈夫、実際には天井の穴は開いてないぞ。空間魔法のちょっとした応用だ。
「くそっ、話が違う! バケモンだこいつ!」
「ぜ、全員で一斉にかかるんだ! もう後には退けねえ!」
「お、おう!」
と全員が私にむかって同時にとびかかってきた。私はクロスガードの構えでややうつむき、そのとびかかりを岩のようにただ受け止める。
「ハァーーーーーーッ!!!!」
「「「ひぇあああああッ!?」」」
効ッかーーーーーんッ! と強引にガードを解くと同時に、バチィンと全員纏めて吹っ飛ばしてやった!
やってみたかったんだよコレ! 気合で吹き飛ばす奴! くぅー、アクション映画みたい! めっちゃ楽しい!
さぁ、次の敵はどうやって――
「って、今ので全員片付けちまったかぁー」
全員でとびかかれって言ってたもんな。倒した奴全員固めてて意識はあっても動けない状態にしてるし復帰もない。
さて、こっからどうしたものかね。
とりあえず慰謝料代わりに片っ端から倉庫の中身を頂いていくというのも悪くないかもしれない、なにせ今私はこの町に居ないはずなのだから。
カリーナちゃんの目撃証言? いやぁ、よく似た他人の空似さ。
なんたって、本物のカリーナ・ショーニンちゃんは海賊に絡まれたくなくて一目散にソラシドーレへ帰還中なのでね! 後付け設定だけど。
しかし流れ的にはここでボスの登場、ってのが定番なんだが……
「これはどういうことだ! おい貴様、俺の倉庫に盗みに入ったな!?」
おっと? 見覚えのある眼帯船長。連れは商人っぽいのが1人と、海賊な手下が2人。
どうやらちゃんとボスが来てくれたようだ。やったね神様! 見所が増えるよ!
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