運命の出会い()
ともあれ、現状羊皮紙を切る予定とか無いので他の魔道具を探す。
「ココにはおいてないけどゴーレムなんてのもあるよ。どう?」
「ゴーレム? あるんだ、そういうの?」
「あるよ、まぁ馬車と馬のセットよりも高いんだけど」
そんなの行商人に売りつけようとするなよ。
「なんかこう、もっと使いやすい魔道具は?」
「あー、一応売れ筋で、火をつけるやつとかあるよ。銀貨3枚」
「ちょっと見せてもらっても?」
店主が引っ張り出してきたのはミカンくらいの丸い球。薪の中に入れてスイッチを押すと燃えるらしい。10回くらい使いまわせるとか。
「……微妙に高いし使い勝手悪そうなんだけど」
「お貴族様の家の暖炉でよく使われてる。ま、程々に壊れるのも含めていい金蔓ってやつなんだ」
「なるほど。もっと冒険者とか行商人向けなヤツとかない?」
「うーん、そういうのはウチじゃ取り扱ってないかも。あ、ほらそこの棚のやつとかどう? 大銅貨5枚で手頃だと思うんだけど」
見ると棚にはやはりミカンサイズの玉がおいてある。これはなんだよ。
「ボタンを押すと音が出たり震えたりするだけの玉だね。俺が昔練習で作ったヤツで、子供をあやすオモチャだよ」
「ほー。……ん?」
震える玉……だと!?
「ちょっと試してみていい?」
「どうぞ」
と、許可をとってスイッチを押すと、オモチャのラッパを吹く様なプーップーッという音が出て、ブルブルと震え出した。
「……ふむ」
ブルブルと震えているのである。握ってみてもその振動は衰えない、結構な強さ。
「音が邪魔だな。これ、音の機能を外したのある?」
「え? 音があったほうが子供が喜ぶよ? 実際娘が赤ちゃんだった時には――」
「いらない。音のないヤツなら買う」
「……じゃあ音出す機能外すからちょっと貸して」
そう言って店主はマイナスドライバーらしきものを取り出し、玉をパカッと開いて中に入っていたパーツを外した。ほーん、それが音の機能のやつ。
「これでいい? 音のパーツ外したし、値段は大銅貨3枚でいいよ」
「マジ? ならとりあえずあと2個買いたいんだけど。大銅貨1枚手間賃ってことで銀貨1枚出すよ」
「別にいいけど。……まぁローションの方も10袋を1割引きってことで銀貨10枚で11袋ってことにしとくね。33袋でいいかい」
ん? それって微妙に1割引きではないような……まぁいっか。
本来の旅費とかを考えるとリュックをパンパンにするほどに買い込んでも大した儲けが出ないところだけど、そんなことより今は玉の方である。
「フフフ、これは売れる。売れるぞ……!」
「え、売れるかい? 音を出す機能外したのに。これじゃ錬金術初心者でも簡単に作れるよ」
おっと、独り言が漏れていたようだ。まぁいい。商品の開発も商人にとって大事なポイントだ。
「どうだい店主。私と契約とかしてみない?」
「契約? 急に話が大きくなったんだけども」
「更にこいつを売れるようにするアイディアがあるんだ。なーに、損はさせない……と思う。多分」
「怪しいな、お断りだよ。ローションは売ってあげるからさっさと出ていきな」
むぅ、信用が足りんか。
……まぁいいや。振動だけなら錬金術初心者でも簡単に作れるってことは……
自分で作ってもいいってことだよね!!
むしろ微調整することを考えると自分で作れるべきだよ!!!
「なら自分で作ってみたいから、作り方教えて。もしくは作り方教えてくれるトコ教えて」
「そんなら俺が昔使ってた錬金術教本があるから、銀貨10枚で売ってやろう」
「買った!! 銀貨41枚だね!」
「ちゃんと払えるのか?……うん、問題なかったな。また買いに来るといいよ」
やったぜ! 錬金術の情報ゲットだ!
これで錬金術スキルを身に付ければ、木工スキルと合わせて色々なものが作れるはず……そう、『マッサージ器』とかをね!!
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